元公邸料理人、並木一雅さん(41) 異国の地でフレンチに自信 「技術伝承が今後の務め」 ちばの人

AI要約

千葉県成田市出身の料理人がフランス料理修行を経て、中央アメリカの日本大使館で公邸料理人として活躍。帰国後にレストランをオープンし、新たなフランス料理の旅をスタートさせる。

大使館での厨房勤務や異国での食材調達などを通じて料理人としての自信を深め、スキルを磨いた。

新たにオープンしたレストランでは、フレンチやイタリアン料理を提供し、スタッフと共にお客さまに笑顔を届けることを目指している。

元公邸料理人、並木一雅さん(41) 異国の地でフレンチに自信 「技術伝承が今後の務め」 ちばの人

千葉県成田市に生まれた。子供のころ、家族で鉄板焼きを楽しんだ際、「コックさんになりたい」と思った。

調理師の専門学校に通い、幕張や東京のプリンスホテルなどでフランス料理の修業を積んだ。

「フランス料理は、料理はもちろん、お皿なども全てが洗練されている。そこがいいんです」

11年ほど前から2年半、中央アメリカのエルサルバドルにある日本大使館で公邸料理人になった。

「食の外交官」として厨房に立った。現地の習慣や文化などを重んじながら、日本の魅力を伝えた。

「それだけ大きな責任を伴うが、仕込みから全てをやるのが、したかった。料理人としての自分の立ち位置を見極めたかった」

遠い異国の地は、必ずしも治安が良いわけではなかった。最寄りの市場でスペイン語を駆使し、食材をそろえるのに苦労した。

週に3、4回は大使公邸で大きな会食の場が持たれた。メニューも段取りも全て自分で考え抜いた。ケーキも作れるようになった。

ときには、各国の首脳級をもてなすこともあった。「食物アレルギーには特に気を使いましたね」

こうした日々の積み重ねで、自信を深めた。

帰国後も、古巣のホテルで料理のスキルを磨いた。その後、千葉市にフレンチレストランや和食店を構え、人気店に育てた。

7月22日に、そごう千葉店(千葉市中央区)に3店目のレストラン「VOYAGE(ヴォヤージュ)」を開店させた。「旅をする」という意味だ。まるで海外に旅に出たような気分でフレンチやイタリアン料理のほか、ギリシャやスイス産などのワインも楽しめる。

同店のオーナーとして週に2回は来店し、ときには厨房に立つ。スタッフと一緒にメニューも考案する。

「今後は、自分が得てきたフランス料理の知識や技術を伝承するのが私の務めだ。スタッフには、のびのびとやりたいことを形にし、お客さまに笑顔を届けてもらいたい」

料理のプロとしての新たな「旅」が始まった。

(村上智博)