アルコール依存症が招くリスク──手の震えや幻覚だけでなく、肝臓・心臓病を引き起こすことも

AI要約

アルコール依存症の主な症状について解説。

依存症の人の飲酒行動と体調の違い。

離脱症状や早期症状、後期症状の具体例。

アルコール依存症が招くリスク──手の震えや幻覚だけでなく、肝臓・心臓病を引き起こすことも

酒好きの人に対して、家族やまわりの人は、多少困ることがあっても深刻な問題がなければ様子をみようとしがちです。しかし、なにか問題が起きたときには、多くの場合、依存症は重症化しています。社会生活が危機に陥っていたり、命に関わる病気に罹ってしまっていたりするなど、深刻な事態に陥っていることもあります。

そこで、この記事では、『新版 アルコール依存症から抜け出す本』(樋口 進 監修)から、アルコール依存症の症状や治療法などについて、全8回にわたり解説します。現在、日本に約100万人いるといわれている潜在的な患者さんたちが、早めに対処していくのに役立つ情報をまとめました。

すでに自覚症状のある人をはじめ、予備軍やまわりのご家族もぜひお読みください。今回は、前回に引き続き、アルコール依存症の主な症状についてお伝えします。

アルコール依存症から抜け出す 第4回

第3回はこちら〈アルコール依存症の恐ろしさ 絶え間なく飲み続けているうちに脳が萎縮して、もはや止められない。〉

依存症の人には、朝晩を問わず飲み続ける「連続飲酒」という症状がみられます。さらに、お酒が体から抜けると、手が震えるなどの「離脱症状」が出ます。依存症の代表的な症状のひとつです。

そのような状態が続けば生活がままならなくなりますが、お酒を飲むと症状がおさまります。それでお酒がやめられなくなり、連続飲酒をしてしまうのです。本人は、苦しい症状をやわらげたい、そのような姿を人に知られたくないという気持ちを抱えながら、飲酒しています。本人も苦しんでいるのです。

【飲酒後の体調の違い】

●正常な状態や軽症の人

お酒を飲むと酔いがまわり、体調が変化する。顔が赤くなる、動悸が速くなる、動作が大きくなるなどの変化がみられる。

●軽度依存の人

飲みすぎることが続き、軽度の依存になっている人は、体にお酒への耐性がつきはじめていて、多少飲んでも体調が変わらなくなってきている。

*耐性とは……多量の飲酒を続けると、体質が変化し、それまでと同じ量のお酒では酔いがまわらなくなる。お酒への「耐性」が上がっていく。

●依存症の人

依存症の人は、お酒を飲まないと体調が変化する。お酒が切れてから数時間~48時間の早期には、手や体の震え、発汗、吐き気、けいれんなどの症状が出る(早期症状)。

お酒が切れてから48時間以上経過すると症状が変わる。幻覚や激しい興奮、場所がわからなくなるというような意識障害が起こるなど、危険な状態になる(後期症状)。