「長年悩んだ高血圧、実はロキソニンのせいだったんです…」クスリのせいで病気になった人のたちの《悲痛な体験談》

AI要約

85歳の女性が長年通院していたが、14種類もの薬を処方されていたにも関わらず、血圧が下がらなかった。

薬剤師と協力して薬を精査した結果、腰痛の薬であるロキソニンが高血圧の原因であることが判明し、その服用を中止することで血圧が下がった。

薬の副作用によって病気が引き起こされる事例であり、患者が「クスリのせいで」病気になってしまったということが示された。

「長年悩んだ高血圧、実はロキソニンのせいだったんです…」クスリのせいで病気になった人のたちの《悲痛な体験談》

「『なんでこんなにたくさんクスリを出しているのに、血圧が下がらないんだ』って、先生が独り言を言っていたんです」

高血圧と腰痛で、長年通院している85歳の女性。彼女はこんな言葉を漏らしていた。

降圧剤のアムロジンとオルメテックとフルイトラン、腰痛の痛み止めとしてロキソニンとバファリンと湿布薬のモーラステープ、クスリで胃が荒れるのを防ぐため胃薬としてムコスタとガスター、さらに不整脈対策にリスモダン……女性に処方されていたクスリは14種類にのぼる。だが、血圧は上が170、下が105前後と、高めだった。

帝京大学大学院教授の今井博久氏は、この女性を診て即座にポリファーマシーだと判断したという。

「実はこの患者さんは、うちの病院に来る少し前に引っ越したばかりで、以前の主治医の処方を次の主治医がそのまま引き継いでいたんです。概して医師は、以前の主治医の処方を触るのは極力避けたいものですし、患者さんも『クスリが多すぎるな』と感じても、なかなか医師に向かっては言い出せない」

そこから今井氏は、院内の薬剤師と協力して、女性のクスリをひとつひとつ精査していった。

「女性が通っていた別の病院の整形外科は、腰痛のクスリにロキソニンとモーラステープを出していたのですが、これらは同じNSAIDsで成分も効果もかぶっている。しかも、血圧を上昇させる作用があるクスリなのです。我々は、これが血圧が下がらない理由なのではないかと考えて、ロキソニンをやめることにしました」(今井氏)

この判断は的中した。ロキソニンや、それによる胃炎対策で出されていた胃薬などをやめると、すぐに血圧が140/85まで下がったのだ。

「やはり、女性の高血圧はロキソニンが原因だった。クスリをやめて血圧が下がったので、もともと3種類飲んでいた降圧剤も1種類減らすことができました」(今井氏)

長年悩まされ続けた高血圧が、腰痛のクスリによって引き起こされていた。まさに女性は「クスリのせいで」病気になってしまっていた、と言っても言いすぎではないのだ。

【つづきを読む】『「私はクスリにダマされた!転倒骨折、寝たきりの状態に…」高齢者の間で急増中《薬剤性パーキンソン症候群》の恐怖』

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