優里が公表した「広場恐怖症」とは? 原因・なりやすい人の特徴を医師が解説

AI要約

広場恐怖症は特定の場所や状況で強い不安や恐怖を感じる病気であり、パニック障害と関連がある。症状には動悸や発汗、めまいなどがあり、治療を受けることが重要。

広場恐怖症の発症原因は人によって異なり、過去のパニック障害の経験や遺伝などが影響する。他の心理疾患との関連も多く、再発のリスクもある。

広場恐怖症にかかりやすい人は、過去に精神疾患を患ったり、遺伝的要因がある場合が多い。症状が再発する可能性もあり、専門医の治療を受けるべき。

優里が公表した「広場恐怖症」とは? 原因・なりやすい人の特徴を医師が解説

シンガー・ソングライターの優里が自身の公式Youtubeチャンネルを更新し、パニック障害と「広場恐怖症」の診断を受けたことを明かしました。パニック障害を知っている人は多いかもしれませんが、「広場恐怖症」についてはどういう疾患か知っていますか? 広場恐怖症は、特定の場所・状況に直面した時に強い不安や恐怖を感じてしまう病気だと言います。パニック障害との関連・診断および治療の方法について、医師の伊藤先生に解説してもらいました。

編集部:

広場恐怖症の症状を教えてください。

伊藤先生:

広場恐怖症に罹患すると、特定の場所を訪れたり、ある状況になったりした時に不安や恐怖を異常に感じてしまう病気です。

パニック障害のような状態に陥ってしまい、平常心でいられなくなってしまいます。症状としては、以下のようなものがみられます。

・動悸

・発汗

・息苦しさ・窒息感

・胸部や腹部の違和感・痛み

・めまい・ふらつき

・現実感の喪失

これらの症状が同時に発生するケースが多いです。電車など公共交通機関の利用や人前に出ることを避けるようになり、日常生活に支障をきたしてしまうケースもあります。パニック障害の症状を伴わず、恐怖心や不安感だけを強く感じてしまう人もいます。

編集部:

発症の原因を教えてください。

伊藤先生:

広場恐怖症が発症する原因は、人によって異なります。原因として多く見られるのが、過去のパニック障害の経験です。過去にパニック障害が起こった場所に行くと、再び発作が起こることを心配し、強い恐怖心や不安感を覚えてしまうと考えられています。

パニック障害の状態を恐れるだけでなく、死ぬこと・気を失うこと・人前で恥をかくことなどへの恐怖心がさらに症状を悪化させてしまう場合も多いです。また、遺伝により発症する事例も多いと考えられています。

編集部:

どのような方が広場恐怖症になりやすいのでしょうか?

伊藤先生:

広場恐怖症は、他の合併症を患うケースが多いと考えられています。特に、精神面の疾患に連動して発症する事例が多いです。パニック障害・社交不安障害・限局性恐怖症などが挙げられます。

また、うつ病を経験した方も広場恐怖症になりやすいと考えられています。さらに、前述のように遺伝の影響も大きい病気であると考えられているため、両親が広場恐怖症の経験を持っている場合は罹患しやすいでしょう。

治療を受けて治ったと思っても、何らかの出来事がきっかけで再発する事例も多いと考えられています。一度広場恐怖症の診断を受けた方は、少しずつ行動範囲を広げていく方が安心でしょう。

編集部:

パニック障害と関連があるのですね。

伊藤先生:

前述のように、広場恐怖症はパニック障害を過去に経験したことのある方がかかりやすいと考えられています。パニック障害を発症した場所を再び訪れることで、不安感や恐怖心が掻き立てられ、広場恐怖症に発展するケースが多いです。

広場恐怖症に罹患すると、外出自体が難しくなるなど、日常生活に支障をきたしてしまう場合が多くなります。

パニック障害を経験したことがある方は、生活習慣を十分に整え、ストレスをできるだけ溜めず生活することが大切です。対応が難しいと判断される場合は、精神科などの専門医に早めに相談しましょう。

編集部:

閉所恐怖症とはどのような違いがありますか?

伊藤先生:

閉所恐怖症とは、狭く密閉された空間に対して異常な恐怖心を抱く病気です。エレベーターや窓がない部屋など、逃げ出せない空間にいることに恐怖を感じてしまいます。

広場恐怖症も、同様の状況において不安感や恐怖心を抱くという点で、両者は似通った部分があるといえるでしょう。

しかし、閉所恐怖症が閉ざされた空間にのみ恐怖を感じるのに対し、広場恐怖症は閉所に限らず様々な環境に恐怖を感じる可能性があります。閉所恐怖症に比べ、広場恐怖症の方が症状が発現する範囲が広い病気であるといえるでしょう。