だからボケずヨボヨボにならず天寿をまっとうした…103歳が毎日食べたミネラルをしっかりとれる「おやつの名前」

AI要約

荻野恭子さんの母、阿部ハルさんは肉が好きで、ステーキと赤ワインを特に好んで食べていた。また、おやつには胡麻、海苔、豆、ナッツ、さつまいもなどを食べていた。

母の食べ方は「母流」と呼ばれ、野菜を最初に食べることやご飯を最後にすることなどが含まれていた。

日本人が食べてきた食材に含まれる栄養素が健康に良いことを示唆し、食べることが健康の原点であると述べられている。

料理研究家・荻野恭子さんの母、阿部ハルさんは、ボケたくないという一心で、卓上に座って毎日料理をつくり、元気に食べて、103歳の天寿をまっとうした。特に好んで食べたものは、あの長寿の著名人にも共通するという――。

 ※本稿は、荻野恭子『103歳の食卓 母とつくり上げた卓上クッキング』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■好物はステーキと赤ワイン

 母は肉が好きでした。医学者の日野原重明先生や作家の瀬戸内寂聴さんの肉好きは有名ですが、それに負けずとも劣らずの肉好き。「塊肉じゃないと肉を食べた気がしない!」とまで言っていたほど。

 その上、赤ワインも大好きだったのでステーキと赤ワイン、という夕食も少なくありませんでした。100歳の誕生日はフレンチレストランでお祝いをしましたが、ミディアムのステーキを残さずにいただき、赤ワインを楽しんでいました。グラスに少し残っていたワインも、気がつけばデザートの後には飲み干していたのも母らしい思い出です。

 高齢になると食べる全体量が減ることもあり、タンパク質が不足しがちです。肉にはタンパク質はもちろん、元気の素になるアミノ酸が多く含まれていますし、コレステロールも豊富です。悪者にされがちなコレステロールですが、動物には欠かすことのできない脂質の一種で、血管を強くしたり、物事への関心を高めるような精神的効果も期待できるそうですから、肉は積極的に食べたい食材ですね。

 母は食べることが好きだったこともあり、毎回の食事をとても楽しんでいました。たまの外食は楽しみも増していたようです。感謝して楽しみながら食べる料理は血となり肉となり、健康寿命を長く保ってくれていたのだと思います。

■毎日、おやつに食べていたもの

 胡麻、海苔、豆、ナッツ、さつまいもも母の好物でした。漬物を海苔で巻いたり、野菜に胡麻をふったり。そしておやつといえば小魚、ナッツ、胡麻せんべいをつまんでいました。母のつくるさつまいもを入れた蒸しパンは、それはそれは美味しくて今でもときどき食べたくなります。

 「まごわやさしい」をご存知でしょうか? 健康に良いとされている食材の語呂合わせです。

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ま=豆類(タンパク質やマグネシウムが摂れる)

ご=胡麻やナッツ(タンパク質やミネラルが摂れる)

わ=わかめ、海苔、ひじきなどの海藻(ミネラルが摂れる)

や=野菜(ビタミンやミネラルが摂れる)

さ=魚、魚介類(タンパク質や魚によってはDHAやEPAが摂れる)

し=しいたけなどきのこ類(ミネラルや食物繊維が摂れる)

い=いも類(炭水化物や食物繊維が摂れる)

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 日本人が食べてきた食材には体に良い栄養素が含まれています。母が好んで食べていたものの多くは「まごわやさしい」です。食べること=健康ですから長寿の原点はここにあったのだと思います。

 母の場合「わ」にはワインも含まれていましたが!

■食べる順番も「母流」

 肉が大好きな母でしたが、肉だけを食べていたわけではありません。サラダや煮物などで野菜もしっかり摂っていました。

 そして誰から教わったのかはわかりませんが「母流の食べ方」がありました。肉が好きだからといって最初から肉に飛びつくのではなく、まずはサラダを食べます。野菜も好きだったから自然に箸が動いたのかもしれません。

 それからステーキや焼き肉などの肉料理を食べて赤ワインです。ゆっくり肉と赤ワインを楽しんでから、ご飯と漬物で夕食を締めくくります。

 野菜を先に食べて、ご飯を最後にすると血糖値の上昇が緩やかになります。

 それだけでなく、野菜はナトリウムの排泄を促す効果があるとも言われています。

 母は知識ではなく、動物的な感性でそうしていたのでしょうが、その食べ方はとても理にかなっていました。誰でもちょっと気をつければできることですから、今日からでも実践していきたいものです。