山口乃々華の前向き「いくら嫌なことがあっても腐ることなどないように」

AI要約

山口乃々華さんが、過去の人との関係について手紙を書く連載。会わなくなった人への気持ちを綴る。

自分自身と向き合いながら過去を振り返り、あの人との別れについて悔いを残すが、どうすればよかったか迷う。

未来への希望を抱きながら前向きに生きる決意をする山口乃々華さんの手紙。

山口乃々華の前向き「いくら嫌なことがあっても腐ることなどないように」

伝えたい想いがあるとき、人は手紙を書きたくなる。女優の山口乃々華さんが、“あのひと”に向けて今の気持ちをしたためる連載。今回は、もう“会わなくなった人”への手紙。【連載「〒ののポスト」】

あなたを見かけると、いつかさよならもきちんと言わずに会わなくなった人の顔が過ります。木が私だとすると、葉であるあなたはいつかのご縁によって出会った人。

みな、それぞれが木。だから私もどこかの誰かにとっては葉。

いつのまにか落ち、いなくなったあなた。私が手放したのか、あなたから私のもとを離れることにしたのか、それとも強風に飛ばされ落ちたのか。

なんて、本当は理由も原因もわかっているのですが、私、あのままでは自分の嫌なところに気がついてしまいそうで、とにかくはやく目を背けたかったのです。居心地の悪さからどうにか楽になるために、それらしい理由をつけて、心のなかを無理やり整理し、すべて過ぎたことにして片付けました。

私は得意の前向きさを堂々と掲げ、枝をピンと伸ばした木になって、春だって夏だって秋だって冬だってなんてことないわ!という強気な心で過ごすつもりです。

去るもの追わず、来るもの拒まず…なんて。あなたからすると、私は薄情な人なのでしょう。そう思われていても仕方ない。こうやって手紙を書いている時点で、本当は私にも悔いが残っているのです。しかし、どうすればよかったのか、未だにわかりません。

さて、あなたの木には新たな葉がついているとして、これからのあなたがどんな木になっていくのか、私には知れる立場もないけれど。ずっと元気でいてほしい、と遠くからですが願っています。

私も私で、やはりピンと枝を伸ばして新緑のようなみずみずしい葉をつけた木でいたいので、いくら嫌なことがあっても腐ることなどないように、がんばって生きていきます。

幸あれ!

山口乃々華

山口乃々華(やまぐちののか)

3月8日生まれ、埼玉県出身。2020年末まで E-girlsとしての活動を経て、2021年から女優として本格的に活動を開始。 映画『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ、ドラマ・映画「HiGH & LOW」シリーズやHulu版「崖っぷちホテル!」などに出演、『私がモテてどうすんだ』ではヒロイン役を務めた。近年ではミュージカルにも活動の幅を広げ、2022年には「SERI~ひとつのいのち」でミュージカル初主演を務め、2023年は「SPY×FAMILY」ではフィオナ・フロスト役、a new musical「ヴァグラント」ではヒロイン(W)役を好演。2023年末から2024年1月の舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-では、釘崎野薔薇役を務めた。5月は舞台「ドレミの歌」東京・愛知公演に出演。またミュージカル「ラフヘスト~残されたもの」(7月18~28日)への出演を控えている。

TEXT=山口乃々華

ILLUSTRATION=pinoco