日本の酷暑で1000人超の命が奪われている…「水分と塩分をいっぱい摂る」だけでは熱中症を予防できないワケ

AI要約

熱中症は体温が異常に上昇し、熱調節機能がうまく働かない状態。早期の対処が重要であり、症状には頭痛やめまい、吐き気、全身倦怠感などがある。

熱中症による死者数が増加しており、予防が必要。夏バテも心配され、全身のだるさや食欲不振、頭痛、めまい、睡眠障害、集中力低下などが症状として現れる。

かくれ貧血によるリスクもあるため、暑い時期は鉄分を意識的に摂取することが大切。

猛暑が続く中、熱中症にならないためにはどうすればいいか。総合内科専門医の梶尚志さんは「暑さによって、体内では水分・塩分だけでなく鉄分も不足し、熱中症や夏バテのリスクを高める『かくれ貧血』を引き起こす。厳しい夏こそ、鉄分を補うための食品を意識して選んでほしい」という――。

■最悪の場合、死に至る「熱中症」

 熱中症とは、体内の熱調節機能がうまく働かず、体温が異常に上昇する状態です。主に高温多湿の環境下で長時間過ごしたり、水分や塩分の摂取が不十分だったりすることで起こります。熱中症は重篤な状態に進行することもあり、早期の対処が重要です。

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・頭痛やめまい

・体温が高い

・吐き気や嘔吐

・全身倦怠感

・異常な汗の量(極端に多いか、逆に少ない場合もあります)

・筋肉の疲労感、脱力、筋肉の痙攣など

・意識障害

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 熱中症が進行すると、意識が混濁し、意識を失うことがあります。

 総務省のデータによると、2023年5~9月に熱中症によって救急搬送された人は9万1467人に上ります。また人口動態統計によると、熱中症による死者は2018年以降、1000人を超えることが多くなっています。

■体力を奪う「夏バテ」も心配

 夏バテとは、暑い季節に何かしらの体調がすぐれなくなる状態のことを指します。一般的には、暑さや湿気、身体の水分や電解質が失われることにより、体力や免疫力が低下しやすくなり、以下のような症状が現れます。

 ・全身のだるさ、疲労感

なんとなく体がだるい、疲れが取れないなど、普段よりも疲れやすく感じることが多くなります。

 ・食欲不振

食欲が落ちて、食事が進まない、消化管の機能が落ちることで、胃腸の調子が悪くなることがあります。

 ・頭痛

頭が重い感じや頭痛が起こることがあります。

 ・めまいや立ちくらみ

突然のめまいや立ちくらみが起こることがあります。めまいや立ちくらみは、熱中症の症状ともいえます。

 ・睡眠障害

寝付きが悪くなったり、途中で目が覚めたり、早朝に目が覚めたりすることで、眠りが浅くなることがあります。睡眠が十分にとれていないことで、疲労感が蓄積し、精神的なストレスも感じやすくなります。

 ・集中力の低下

慢性的な疲労感や寝不足から、仕事や学業などで集中力がなくなることがあります。