更年期のホットフラッシュ緩和に 取っておきたい身近な食材とは

AI要約

更年期の女性の夏の食養生についてのアドバイス。中庸を保つために気・血・津液のバランスを取ることの重要性、夏に起こりやすい不調とそれに対応する味の効能について解説。

汗をかきやすくなるホットフラッシュやのぼせで気・血・津液が不足しがちな更年期の女性には、酸味や苦味のある食材を取り入れることでバランスを整えると効果的。

夏におすすめの食材として梅、レモン、ゴーヤーなどが挙げられ、それらを組み合わせた料理を紹介。苦味のある食材は不調の改善に効果的とされている。

更年期のホットフラッシュ緩和に 取っておきたい身近な食材とは

 ジリジリと照りつける太陽に、ムシムシする湿気。更年期世代にはつらい夏がやってきました。とくに、更年期障害のなかでも汗が止まらなくなる症状のホットフラッシュや、体の内側に熱さがこもっているようなほてりやのぼせを感じている人は、夏の暑さがこたえるでしょう。更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載。第5回は、ホットフラッシュやのぼせで悩む人向けに夏の食養生をお届けします。

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 中医学では、過不足なく偏りのない「中庸(ちゅうよう)」の状態でいることが健康を保つといった考え方があります。中庸を探る理論にはいろいろありますが、体を構成する大切な3つの要素「気・血・津液(水)」のバランスが取れているかで、健康な体が維持できているかを判断します。

 更年期は気・血・津液のいずれも不足しがちな状態になりやすく、バランスを取りにくい時期です。たとえば、ホットフラッシュなど汗をかきやすい人は、体の水分である津液とともに血も不足し、汗とともに気も一緒に発散されていると考えます。

 また、疲れやすくやる気が出ない場合は、体を動かすことや気分に影響を与える気の不足とします。ドライアイや髪の毛の乾燥、筋肉のけいれん、こむら返りを起こす場合は全身に栄養を届ける血の不足ととらえるなど、不調の様子によって不足しているものが異なるのです。

 その不足の要素を補えばバランスが取れ、健康維持もできるはずなのですが、猛暑で体に熱がこもりがちで大量の汗をかくと、体内の水分やエネルギーをどんどん消耗してしまいます。そこに更年期症状とのダブルパンチで気・血・津液を補い切れず、なかなかバランスが取れません。中庸でいられないので、不調に陥りやすくなるのです。

 ホットフラッシュで暑がり傾向にあり、夏になるとよりつらさを感じる更年期の人は、味の効能による食養生を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 薬膳において、飲食物には酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かんみ)の五味いずれかが備わっており、それぞれの味の特性が体や心の不調に働きかけると考えられています。

 たとえば、酸味には汗腺を引き締める収れん作用があり、必要以上に汗や尿、便などが排出されるのを防ぐ味とし、多汗、寝汗、頻尿、下痢といった夏に起こりやすい不調に良いといわれています。また、汗とともに失われる体のエネルギーである気の放出も防ぐので、夏バテ予防にも期待できるでしょう。

 酸味の食材には、梅やレモンなどの果実類、酢、ヨーグルトなどがあります。梅シロップジュースやレモン果汁に気を補うハチミツを入れてドリンクにしたり、ヨーグルトに気血を補う桃を加えてスムージーにしたりすると、よりバランスが整っておすすめです。

 また、苦味は解熱、消炎、利尿、解毒の作用で体内の熱を冷まし、ほてりやのぼせをやわらげ、湿気によって溜まった体の余分な湿や水分を取り除く特性があると考えられています。

 苦味のある食材にはセロリやレタス、緑茶などがありますが、夏の代表的な食材といえばゴーヤーです。旬の食材には、その季節に取り入れたほうが良い効能が備わっていることが多いもの。ゴーヤーは苦味の効能のほかにも、五臓のなかで夏に影響を受けやすい心にも働きかけることが期待されています。

 酸味と苦味を一緒に摂れる、ゴーヤーとクコの甘酢漬け、ゴーヤーとセロリの梅ドレッシング和え、ゴーヤーの卵とじなどは簡単にできる一品です。苦味のあるゴーヤー料理は苦手な人も多いですが、「良薬は口に苦し、苦味が不調を改善してくれる」と思って口にしてみてください。