五輪アスリートに教員特別免許…文科省の取り組みに怒りと批判の声が上がるワケ

AI要約

文部科学省が教員免許を持たないアスリートを採用する取り組みを始めたが、ネット上で否定的な意見が広がっている。

元オリンピック選手が政治家として不祥事を起こす例が多いことから、免許の厳格さや待遇改善の重要性が指摘されている。

教員の疲弊を防ぐために、現場の改善が急務であることが強調されている。

五輪アスリートに教員特別免許…文科省の取り組みに怒りと批判の声が上がるワケ

《愚策極まりない》《そうじゃなくて現職の待遇を良くすることが先だ》

 ニュースが報じられた途端、ネット上で否定的な見方が広がった。文部科学省がオリンピックなどへの出場経験があるアスリートについて教員免許がなくても採用するよう求める取り組みを始めた、などと報じられたためだ。

 同省は高い専門性を持つ外部人材で教員免許がない人に「特別免許状」を出して採用するよう自治体に促していて、盛山正仁文科相(70)は「その舞台に立つだけの経験や努力は児童、生徒や先生にとってもプラスの効果がある」として五輪出場経験のあるアスリートなども対象に広げる方向性に理解を求めている。

 だが、SNS上では批判的な投稿が少なくない。そもそも「免許」は一般に禁止・制限されている行為を行政機関が特定の人に対して許可したり、特別に権利や地位を与えたりすることだ。それが「不要」になるのであれば「免許」自体の仕組みも必要なくなってしまうだろう。極論すれば「何となく運転が上手そうだ」との理由で自動車運転免許を与えるようなものだ。

 さらに《なぜオリンピック選手が対象になるのか》《五輪に出場した国会議員を見てもロクな人がいないではないか》との意見も目立つ。最近起きた政治家の醜聞を見ても、元オリンピック選手の肩書きを持つ人物の不祥事が後を絶たないからだ。

■元アスリート政治家はワルばかり

 例えば、選挙区内の有権者に対する違法寄付や、派閥の政治資金パーティーからの裏金1714万円の一部を収支報告書に記載しなかった疑いで公選法違反と政治資金規正法違反の罪で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた堀井学前衆院議員(52)=有罪確定=は1994年のリレハンメル冬季五輪スピードスケート男子500メートルの銅メダリストだ。

 そして、その堀井氏を政治家の道に勧誘した92年のアルベールビル冬季五輪スピードスケート女子1500メートル銅メダルリストの橋本聖子元五輪相(59)もまた裏金2057万円を受け取っていたとして、参院の政治倫理審査会(政倫審)で説明を求められた。

 このほか、東京五輪誘致活動の際、官房機密費(内閣官房報償費)を使って国際オリンピック委員会(IOC)の委員全員に「20万円のアルバムを渡した」と暴露した石川県の馳浩知事(63)。IOCの倫理規定違反にも問われかねない問題として国会でも大騒ぎとなったが、馳氏は84年のロサンゼルス五輪レスリング代表だ。

 政治資金パーティーを巡る裏金疑惑が新たに浮上した自民党派閥「為公会」(現・志公会=麻生派)の領袖である麻生太郎副総裁(83)も76年モントリオール五輪のクレー射撃の日本代表。つまり、五輪選手だからといって必ずしも、すべての人間が人格的に優れ、教員にふさわしい高い倫理観を持っているとは限らないのだ。

《大学での履修、教育実習を経てやっと手に入れた教員免許なのに、五輪アスリートだから全部すっ飛ばしてOKなのか?》

《免許なのだから厳格にするべき。人員が足りないのであれば待遇面を改善して人が集まるようにするべきではないか》

 いずれにしても現場の教員が今以上に疲弊しない仕組みが欠かせない。

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 元五輪アスリートながら不祥事に手を染めた政治家。関連記事【もっと読む】では<堀井学は議員辞職だけでは済まされない 裏金集団の自民党から“足抜け”するためにやるべき3つのコト>、【さらに読む】では<「第2の堀井学」は誰だ?捜査はヨコタテどちらに伸びる?裏金香典疑惑に自民議員は戦々恐々>などを取り上げている。