「今日もお願い」毎朝父にコーヒー豆を挽いてと頼んでまで、娘が父に『言いたいこと』は
介護者と介護を受ける人の関係性についてのメッセージ
介護を受ける人にも仕事を見つける必要性
お互いに感謝の気持ちを伝えることの重要性
介護の現場で出会った人から「幸せになる方法」を教わった、と語る介護福祉士でイラストレーターの高橋恵子さん。今度はあなたに、イラストと言葉でメッセージを届けます。
「高齢者が介護されるばかりになったら、
生きる気力を失わないように、
『日々の仕事』を見つけてあげてください」
それは、私の先輩である訪問介護ヘルパーさんが、方々で介護者にアドバイスされていたことです。
『日々の仕事』とは、
花に水をあげたり、
テーブルの上を拭いたり、
珈琲をいれるのを手伝ったりなど、
どんなにささいなことでもいい、ということでした。
特に男性の高齢者は、暮らしのなかでやることを見失いがちなので、
介護者が一緒に見つける必要を説いていました。
以前、私はそのアドバイスの効果は、
高齢者、つまり介護される人にだけ発揮されるものと思っていました。
けれど今は、介護者にとっても必要なアドバイスだったと分かります。
介護をする側。
介護をされる側。
そんな一方的に見える関係が続くと、
どうしたって、家の中は息苦しくなりがちです。
しかも介護される側は申し訳なさから、ありがとうよりも
「ごめんね」や「悪いね」と口にする機会が勝ったりもします。
そんな介護される人の気持ちがいたたまれず、涙する介護者も少なくありません。
だからこそ介護される人には、動ける間は無理のない範囲で、
日々の仕事をもつ必要性があると思います。
なぜなら仕事には、それをする相手への感謝が生まれるからです。
お互いに「ありがとう」と交わす機会が、いっときでもあると、
それが、介護の日々の潤滑油にもなってくれます。
「ありがとう」
そのシンプルな言葉はいつだって、
私たちの今日を照らしてくれます。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》