「ライオン」と「三角形」脳を活性化させる言葉はどっち?脳内科医が解説する言葉の力。落ち込んでいるときこそつぶやくべき<ひとり言>とは

AI要約

脳内科医の加藤俊徳先生によると、ひとり言は脳を覚醒させ、能力を伸ばす力があるという。

実験結果から、親近感のある言葉を使うひとり言は脳を活性化させやすいことが分かった。

そのため、日常的で親近感があり、連想が広がりやすい言葉を使ってひとり言をすることが重要である。

「ライオン」と「三角形」脳を活性化させる言葉はどっち?脳内科医が解説する言葉の力。落ち込んでいるときこそつぶやくべき<ひとり言>とは

<ひとり言>というと、「自分の世界に入り込んでいるみたい」「なんだか地味で暗い感じ」など、あまり良い印象を持たない方もいるのではないでしょうか。しかし、脳内科医の加藤俊徳先生は「ひとり言には脳を覚醒させ、眠っていた能力を伸ばす力がある!」と断言しています。そこで今回は、加藤先生の著書『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』より、脳科学的な視点から<ひとり言のメカニズム>を一部ご紹介します。

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◆「難しい言葉」よりも、「親近感のある言葉」を使う

以前、こんな実験をしたことがあります。

被験者がさまざまな単語を聞いたとき、脳がどのように反応するかを調べたのです。

すると、面白い結果になりました。

みなさんは「ライオン」や「ネコ」という言葉を聞いたときと、「三角形」や「四角形」という言葉を聞いたときの、どちらの方が脳が活性化すると思いますか?

答えは、「ライオン」や「ネコ」という言葉の方が、脳が活性化したのです。

両者の違いは何でしょうか?

「ライオン」や「ネコ」はいうまでもなく動物であり、その鳴き声や姿かたち、動きなどが連想しやすいものです。

一方の「三角形」や「四角形」は、より概念的な言葉です。

鳴き声のような付随した情報もありません。

私としては、概念的な言葉や難しい言葉の方が、それを理解しようとして脳がより働くのではないかと考えていましたが、見事に外れてしまいました。

他にも、さまざまな言葉で実験を繰り返しましたが、結果は同じでした。

◆より脳を活性化しやすいひとり言

このことから、脳を活性化させるひとり言と、そうでないひとり言の違いも見いだせると思います。

つまり、日常的で親近感があり、連想が広がりやすいひとり言の方が、より脳を活性化しやすいということです。

たとえば、「昨今の情報社会は間違っている!」と嘆くよりも、「スマホばかりいじっていては、人間がダメになるよね」と、より具体的に問題点を提起する言葉でつぶやく方が、脳はより活性化するわけです。

スマホの話であれば、以下のように思考がどんどん広がっていきます。

「だって、スマホばかり見ていたら、他人との直の会話が減ってしまうでしょう」

「スマホで調べるから、人から聞かなくてもいいとなるし……」

「自分の周りに、もっと関心を向けるべきでは?」

といった具合に、思考を深めていくことができるのです。

ひとり言は、できるだけ簡単で、身近な言葉で話すようにしましょう。

その方が、脳はより活性化するわけです。