「身長が伸びにくい」治療対象は受診者の1割ほど…成長ホルモンが足りない場合は皮下注射

AI要約

成長の遅れは、ホルモン分泌の異常などによって引き起こされる現象であり、身長が伸びにくくなることがある。

低身長が主な理由でこども病院を受診した場合、病気による治療が必要なケースは約1割程度である。

成長ホルモンや甲状腺ホルモン、性ホルモンの過剰または不足など、ホルモンの異常が低身長の原因となる可能性がある。

 ホルモン分泌の異常などで身長が伸びにくくなる「成長の遅れ」。福岡市立こども病院内分泌・代謝科長の都研一医師に原因や治療法を聞いた。

 母子健康手帳には子どもの月齢や年齢ごとに身長や体重をグラフに書き込んでいくページがあり、グラフには正常な発育と言える幅を示す帯が描かれている。子どもの身長や体重がこの帯から外れていたり、帯の中にあっても成長が急に止まったりした場合、低身長など成長障害の可能性がある。

 ただ、大半は体質的な小柄であるケースだ。低身長が主な理由でこども病院を受診した人のうち、病気が原因で何かしらの治療の対象になるのは1割ほどだ。

 治療の対象になる低身長の大半は、ホルモンや内分泌の病気だ。子どもの体からは成長ホルモンや甲状腺ホルモン、性ホルモンといった様々なホルモンが分泌される。身長を伸ばしたり、体重を増やしたりするが、この分泌量が多すぎても少なすぎても異常につながる。

 成長ホルモンの分泌が少ないと背が伸びず、多すぎると体が大きくなりすぎる。甲状腺ホルモンが多いと、バセドウ病のように、代謝が活発になりすぎて体重が増えない症状などが出る。少ないと甲状腺の機能が低下して代謝が悪くなる。

 性ホルモンが少ない場合は思春期が遅れ、心身が急激に発育・発達する第二次性徴が起こらない恐れがある。逆に分泌が多くなる時期が早すぎると思春期早発症となり、一時的に身長が伸びた後、早期に成長が止まって小柄になってしまうこともある。

 成長ホルモンが足りない場合は毎日の皮下注射で補うなどする。最近は注射が週1回で済む薬も出てきている。ほとんどのケースが遺伝的、先天的で、予防できない。成長の様子をきちんと記録して、できるだけ早期に異常に気づくことが大切だ。(聞き手 大森祐輔)