カナダで難民認定を受けた女性カップルのいま 「死ぬぐらいだったら逃げる」選択肢もある「暮らしは100%明るい」

AI要約

カナダで難民と認められた日本人の女性カップルの生活に迫る記事。日本での偽りと抑圧から解放され、カナダでの新たな生活を楽しんでいる様子が描かれている。

日本のジェンダーギャップや女性社会の問題に触れ、日本人女性の生き方に対する様々な視点が示されている。

日本人難民の事例についての統計や専門機関の見解も取り上げられ、新たな視点が提供されている。

カナダで難民認定を受けた女性カップルのいま 「死ぬぐらいだったら逃げる」選択肢もある「暮らしは100%明るい」

 2023年9月、カナダで難民と認められた日本人の女性カップルがいる。50代のハナさんと30代のエリさんだ。日本では賃貸住宅で入居を断られたり、関係を不審がられて「母娘」だと偽ったり。そんな環境を経て2人はいま、カナダで何を思うのか。AERA 2024年6月17日号より。

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 いま2人はバンクーバーで暮らしている。ハナさんはスキー場で、エリさんは薬局でアシスタントとして働く。エリさんは言う。

「日本ではずっと自分を偽って、ハナちゃんとの関係を偽って生活しなければならなかった。私たちはそんなに英語も流暢じゃないし、アジア人だし、カナダ社会が抱える問題だってある。それでも、カナダの文化を学べて、人間として成長できている実感がある。こちらでの暮らしは100%明るい」

 ハナさんも笑顔を見せる。

「問題のない社会なんてどこにもない。でもカナダの人たちは良く『ノージャッジ、ノージャッジ』っていうんです。他人を自分の独善的なものさしで判断して批判してはいけないよって」

 世界経済フォーラムが23年に公表したジェンダーギャップ指数によると、日本は世界146カ国中125位。国会議員の男女比や、同一労働の賃金男女格差といった「政治」と「経済」の分野で値が低い。エリさんは言う。

「日本では女性が1人で生きていけないから、生きていくために、レズビアンでも男性と結婚せざるを得ない人は少なくない。私の体感では8割くらい。声を奪われ、自分を偽って生きていかなければならない状況は迫害だと思う。そんな女性たちに、私たちの挑戦を知って、こんな生き方もあると知ってもらいたかった」

 ハナさんもこう続ける。

「死ぬぐらいだったら、逃げるって選択肢もあるよ、って伝えたい」

 国連難民高等弁務官事務所の報告では、他国で難民認定される日本人は毎年数十人程度いるが、理由についての統計はない。また、外務省や法務省は「認定を受けた日本人の人数や理由は把握していない」としている。