「爆発」で進む次世代エンジン、JAXAが打ち上げを当面延期

AI要約

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月23日、観測ロケット「S-520-34号機」の打ち上げを見合わせることを発表。

理由は天候やH-IIAロケット49号機の打ち上げに関連する設備流用など。

実証では衝撃波を利用したデトネーションエンジンシステムの性能が試験される。

「爆発」で進む次世代エンジン、JAXAが打ち上げを当面延期

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月23日、「液体推進剤回転デトネーションエンジンシステム飛行実証実験」 を目的とした観測ロケット「S-520-34号機」の打ち上げを当面の間見合わせると発表した。

 同ロケットは当初、8月11日に打ち上げられる予定だったが、8月8日に日向灘で発生した地震の影響で延期となっていた。

 打ち上げを当面見合わせる理由についてJAXAは、現在の天候予測ではしばらくの間、観測ロケットの打ち上げに適した天候とならない点や、9月11日を予定しているH-IIAロケット49号機の打ち上げにおいて、観測ロケットの打ち上げ設備の一部を流用する点などを挙げた。

衝撃波を伴う爆発を推力に変換

 S-520-34号機では、衝撃波を伴う爆発である「爆轟」のエネルギーを、安全かつ効率的に推力に変換する「デトネーションエンジンシステム」(DES)の実証を予定している。

 デトネーションエンジンは従来のエンジンよりも容易に推力を生成できるため、ピストンやタービンなどの複雑な構造が不要で、エンジン自体も大幅に小型軽量化できる。将来の航空宇宙領域を担う次世代エンジンとして期待されている。

  なお、JAXAは、回転デトネーションエンジンの宇宙飛行実証をS-520-31号機で世界に先駆けて成功させた実績がある。その際は気体燃料(メタンと酸素の混合ガス)を用いていたが、今回の実証では液体燃料(エタノールと液化亜酸化窒素)を用いる。そして、液体燃料を用いたデトネーションエンジンの宇宙空間での飛行実証をめざす。