ISSとドッキング「スターライナー」、さらなるテストを予定–帰還日程は示さず

AI要約

宇宙船Starlinerの帰還テストについてNASAとBoeingが記者会見を開催し、ISSとの接近中に起きた問題について説明。

Starlinerのスラスターの性能低下が焦点となり、RCSテストを実施。これにより再度の地球帰還を目指す。

商業乗員輸送プログラムにおいて、SpaceXのCrew Dragonとの差を埋めるべく、Boeingの作業が継続中。ISS滞在や次回打ち上げにも影響。

ISSとドッキング「スターライナー」、さらなるテストを予定–帰還日程は示さず

米航空宇宙局(NASA)と米Boeingは米国時間7月25日に記者会見を開催。宇宙船「CST-100 Starliner」の帰還前のテストについて言及した。海外メディアのSpaceNewsが報じた。

 6月5日に打ち上げられたStarlinerは、国際宇宙ステーション(ISS)に2人の宇宙飛行士を輸送。ヘリウム漏れやスラスターの問題から、地球への帰還がたびたび延期されている。

 ISSにドッキングしたStarlinerはスラスターを点火する予定で、これは地球への帰還に向けた最終テストとなる可能性があることが記者会見で明かされた。一方で、Starlinerに搭乗した2人の宇宙飛行士、Butch Wilmore氏とSuni Williams氏を地球に帰還させる日程は決定されていない。

 テストの焦点は、Starlinerの姿勢制御システム(Reaction Control System:RCS)のスラスターに置かれている。NASAとBoeingは最近、地上のホワイトサンズ試験施設でRCSのテストを完了し、その性能低下を再現しようとした。

 RCSのスラスターは、ISSへの接近中にStarlinerのコンピューターがシャットダウンしてしまった。NASAは、Starlinerでのスラスターの性能低下は、軌道上でよくみられるものと説明。今後予定されているテストは、スラスターに関係する機材が無傷であることを確認するためという。

 NASAは、ISSに宇宙飛行士を送迎するためにSpace Exploration Technologies(SpaceX)やBoeingと「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」を契約。SpaceXの「Crew Dragon」はすでに実運用されている。BoeingのStarlinerは現在、有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)という位置付け。

 Starlinerは、CFTとして2人の宇宙飛行士を輸送した。2人のISS滞在は当初1週間程度だった。たびたび延期されたことで2人の滞在期間は2カ月になる可能性が高まりつつある。

 現在、ISSには第71次長期滞在クルーとして7人が滞在中(これにStarlinerの2人が加わっている)。もともとの予定では、第72次長期滞在クルーが8月18日以降にCrew Dragonで「Crew-9」としてISSに輸送される予定となっていた。

 しかし、Starlinerの帰還にめどが立たないことから、Crew-9の打ち上げも現段階では見通せない。Crew-9として打ち上げられたCrew DragonがISSとドッキングするには、StarlinerがISSとのドッキングを解除する必要がある。

 予定外の滞在となっており、ISSにある食糧などの物資が足りるのか不安視されるが、NASAは十分に備蓄しており、問題はないとしている。