大人とはまったくの別物…小児循環器とカテーテル治療~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.17~

AI要約

小児循環器とカテーテル治療についての解説。日本の循環器疾患の治療は内科と外科に分かれており、外科は内科の治療の1選択枝に過ぎない。小児循環器は成人循環器と全く別分野であり、先天的な心臓の異常に対する手術は非常に繊細なものである。

心臓外科医は内科の先生方の治療の補完的な役割を果たし、難しい手術を担当する。小児循環器は赤ちゃんから成人まで対応し、異常の形態は数多く存在する。

赤ちゃんの心臓手術は非常に緻密で繊細な作業であり、選ばれた外科医しか行えない。小児循環器は赤ちゃんから成人まで幅広い患者に対応する必要がある。

大人とはまったくの別物…小児循環器とカテーテル治療~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.17~

二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還する『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1に引き続き、医学監修を務めるのは山岸俊介氏だ。前作で好評を博したのが、ドラマにまつわる様々な疑問に答える人気コーナー「片っ端から、教えてやるよ。」。シーズン2の放送を記念し、山岸氏の解説を改めてお伝えしていきたい。今回はシーズン1で放送された4話の医学的解説についてお届けする。

※登場人物の表記やストーリーの概略、医療背景についてはシーズン1当時のものです。

■小児循環器とカテーテル治療

現在の日本の循環器(心臓)疾患(病気)の治療は子供(小児)と大人(成人)で分かれています。それぞれ内科と外科がありますので、小児循環器内科と小児心臓外科、成人循環器内科と成人心臓血管外科があるということです。

我々外科の医者は内科の先生方が色々検査をして患者さんの治療方針を決めて、カテーテルという血管内に管を入れて治せる病気は内科の先生が治してくれて、それでも治療困難な患者さんが外科に紹介されて我々は手術をします。

心臓外科の治療(手術)はいわば、内科の先生方の治療の1選択枝に過ぎません。野球の守備に例えるならば、内科の先生方は患者さんの治療方針の監督かつ内野手、一部外野に飛んだフライや内野の間を抜けたゴロを我々外野手である外科に任せるような印象です。

成人循環器と小児循環器は、感覚としては本当に全く別分野であります。ただ単に大人を小さくしたのが子供、赤ちゃんではありません。

小児循環器は赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる頃から中学生さらには成人先天性心疾患の大人まで診察しなければなりませんし、小児循環器にかかるお子さんの心臓はそのほとんどが先天的な異常(生まれた時からある心臓の構造異常)で、その異常の形態は数えきれないほど程たくさんあります。また小春ちゃんはまだ2年生くらいなので大きい方ですが、赤ちゃんとなると小さい場合は1500gの赤ちゃんの心臓を手術しなければなりませんので、本当に選ばれし外科医しかできない緻密で繊細な手術になります。