同時に併発?「冠動脈瘤」と「心タンポナーデ」とは?~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.14~

AI要約

二宮和也主演の『ブラックペアン シーズン2』で、医学的解説の人気コーナーが復活。シーズン1で取り上げられた疾患や手術の解説が提供される。

冠動脈瘤や心タンポナーデなど、ドラマ内で描かれた病態や医療手技について丁寧な解説が行われる。

山岸俊介氏による医学監修を通じて、視聴者に正確な情報を伝えるシーズン1の医学的解説がシーズン2でも期待される。

同時に併発?「冠動脈瘤」と「心タンポナーデ」とは?~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.14~

二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還する『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1に引き続き、医学監修を務めるのは山岸俊介氏だ。前作で好評を博したのが、ドラマにまつわる様々な疑問に答える人気コーナー「片っ端から、教えてやるよ。」。シーズン2の放送を記念し、山岸氏の解説を改めてお伝えしていきたい。今回はシーズン1で放送された3話の医学的解説についてお届けする。

※登場人物の表記やストーリーの概略、医療背景についてはシーズン1当時のものです。

■冠動脈瘤

楠木さんは僧帽弁狭窄症を患い佐伯教授の手術を予定されていましたが、佐伯教授は楠木さんの術前CTを見てあるものに気づきます。冠動脈瘤です。冠動脈瘤は冠動脈という心臓の周りにある心臓の筋肉自身を栄養する(栄養や酸素を供給するための)血管に瘤ができてしまう病気です。

冠動脈は大きく分けると2本(右冠動脈と左冠動脈)に分かれ、左冠動脈は前下行枝と回旋枝にわかれます。CTを見るところ前下行枝の近位部に2cmほどの径の冠動脈瘤を認めました(図1参照ください)。

佐伯教授はさらなる冠動脈造影検査をオーダーします。冠動脈造影検査はカテーテルを使用して冠動脈に造影剤を流し込み、冠動脈の形態をみる検査です。渡海先生も冠動脈瘤に気づき冠動脈造影を世良先生に指示します。しかし不幸なことに冠動脈瘤が田村さんのスナイプ手術中に破裂してしまいます。

■心タンポナーデ

関川先生が楠木さんのところに駆けつけ心エコー検査をすると心タンポナーデを見つけます。

心タンポナーデとは何かといいますと、心臓は胸の真ん中あたりにあるのですが、心嚢という袋に入っており、その心嚢に血液や体液が溜ってしまい、中の心臓を圧迫してしまう状況です。大きな袋の中に入ってその中に水を入れられるようなものです。水に圧迫されて動けなくなってしまうように、心臓もまわりの液体によりうまく動けなくなり、全身に血液を送れない状態になります。