〈村上春樹も来訪〉超B級テーマパーク館長は “鬼畜系ブーム”を生んだあの出版社社長だった! 今も拡大し続ける「まぼろし博覧会」誕生秘話

AI要約

静岡県伊東市にある「まぼろし博覧会」は、500体以上のマネキンや思い出の品などが展示されるカオスなテーマパークで、一風変わった魅力がある。

ラブドールなど性に関するグッズも多く、一般の方からの寄贈や変わった引き取り方も行われている。

創設者の鵜野義嗣氏は、伊東市に作品をつくる理由やテーマパークの理念について語っており、地域とのつながりを大切にしている。

〈村上春樹も来訪〉超B級テーマパーク館長は “鬼畜系ブーム”を生んだあの出版社社長だった! 今も拡大し続ける「まぼろし博覧会」誕生秘話

日本一カオスなテーマパークと言っても過言ではない静岡県伊東市の「まぼろし博覧会」。#1では同館館長にしてメインキャラクターでもある「セーラちゃん」の案内のもと館内をレポートした。今回はセーラちゃんの世を忍ぶ仮の姿(?)、鵜野義嗣(うの・よしつぐ)さんにインタビュー、その奇妙な芸術的感性と人物像を掘り下げる。

――「まぼろし博覧会」、噂どおりすさまじい場所でした!

鵜野義嗣(以下、同) ありがとうございます。どんなところが印象に残りましたか?

――「大仏殿」の巨大オブジェ群もスゴかったですが、館内は全体的にマネキンが多かった印象です。

そうですね。500体以上あります。

――500体!?

自分で購入したものや秘宝館から引き取ったものが多いですね。最近は一般の方から「家で保管しておくより、ここでたくさんの人に見てもらいたい」という理由で、骨董品や人形、故人の遺品など思い出の品を寄贈されることも増えています。

――それが昨年の元旦に完成した新エリア「昭和の宝物殿」ですね。

珍しい物よりもどこの家にもあるような物のほうが人気なんです。珍しい物は見て終わりだけど、みんなの思い出の品は自分の過去の思い出と重ね合わせながら眺められるので。

まぼろし博覧会全体が、誰もが疲れたときや何かに行き詰まったときに、いつでも帰ってこられる実家のような場所でありたいと思ってます。

――ラブドールなど、性に関するグッズも多い印象でした。

みんな誰かにバレたらまずいとか、捨てるところを人に見られたら恥ずかしいとかで処分に困ってるみたい。だからここにたくさん集まってきます。

ーーということは、匿名で物が送られてくることも?

ありますね。「ジェシカちゃん」というラブドールは、歌舞伎町の飲食店の前に飾ってあった物らしいけど、お店がなくなって引き取り手がなかったところ、ここを知ったその飲食店のお客さんが持ってきたものです。

朝5時にここへ来たら入口に軽自動車が停まっていて、車から出てきた知らない男性が「これをもらってくれますか」と。

――そんなものまで引き受けてしまうとは……。その他に変わった引き取り方は?

東京藝術大学の学生が学園祭で作った神輿を毎年寄贈してくれるんです。学園祭が終わると、16~40名くらいの学生が搬入や組み立てをしに来てくれます。他にも全国の学生から置き場所がない卒業制作などが寄贈されますね。

ーーまさにみんなと一緒に作り上げるテーマパークですね。そもそも、なぜ伊東市にまぼろし博覧会をつくろうと思ったのですか?

東京で出版社をやっていたので、東京から日帰りで行ける場所を選びました。伊東には温泉もあるし、昔は美術館や博物館などがたくさんあり、1年中観光客が来る場所だったんですよ。今では数多くの施設がつぶれてしまいましたが。