ラッパー・宇多丸が「名門私立中」で見たもの、「白ふんどしに愕然」…よく知らずに入った進学校になじめず

AI要約

宇多丸さんが音楽に夢中になったきっかけは映画『スター・ウォーズ』で、そのサントラからさまざまな音楽ジャンルに触れていく中で音楽にハマっていった。

子ども時代は学校での同調圧力に悩みつつも、塾では自分らしさを発揮できる環境を楽しんでいた。

宇多丸さんは小学生の頃から映画や音楽に魅了され、その経験が後の音楽活動に影響を与えている。

 ビートに合わせて矢継ぎ早に言葉を紡(つむ)ぎ出す「ラップ」。ヒップホップグループ「ライムスター」のラッパー・宇多丸さん(55)は、アメリカで生まれたラップを日本に広めた先駆者の一人だ。音楽に夢中になった原点は、ある映画との出会いだった。(読売中高生新聞編集室 鈴木経史)

 「ヒップホップに出会う前、そもそも音楽を好きになった最初のきっかけは映画でした。小学3年生だった1978年、日本で初めて『スター・ウォーズ』が公開されたんです。たった2時間ぐらいの作品でしたが、それまでいいと思っていた他の映画やアニメ全てが色あせて見えるようになるほど衝撃を受けました。作品を見てからしばらくは、休み時間にクラスメートを捕まえて、『いかにスター・ウォーズが面白いか』を延々と語ったり、クラスの壁新聞で評論したりしてましたね(笑)。

 当時は、いまのようにサブスクのサービスもビデオソフトもないので、映画の感動をもう一度味わうには劇中曲を集めたサントラ(サウンドトラック)を聴くしかありません。映画を見てはサントラで色んなジャンルの音楽に触れて、そのうち今度は音楽にどんどんハマっていきました。映画と音楽という、いまの自分の軸になるものが決まったのは、この頃だったと思います」

 映画や音楽の魅力に目覚める一方、小学生の頃は「学校が嫌で仕方なかった」という。

 「友だちもいたし、普段はみんな仲がいいんですけど、ランダムで『無視の日』が来るんですよ。ある日、突然みんなに無視されて、絶望的な気持ちで1日が終わったと思ったら、『ウソだよ~』って言われる。いや、ウソってなんだよ…みたいな。自分が無視されるのはもちろん最悪だし、クラスメートが無視されてる時も加担したくないけど、自分がいじめられたくないから無視せざるを得ない。子ども社会とは言いながら、気持ちの悪い同調圧力みたいなものがあって、それがずっと嫌でした。

 反面、塾はすごく好きでした。変な同調圧力もないし、足の速い子よりも面白いことを言える子の方がイケてるっていう感じだったんですよね。勉強は全然できなかったけど、小学校とは違う環境に行きたい、受験をして私立の中学に行きたいと、ずっと思ってました」