「絶望的にお粗末」 政治資金規正法の自民改正案に野党の批判が殺到 衆院予算委

AI要約

野党は岸田文雄首相に対し、政治資金規正法改正の自民案について批判を浴びせ、衆院政治改革特別委員会での審議が始まる前哨戦となった。

野党は自民案が薄っぺらいと指摘し、政策活動費や企業・団体献金の取り扱いについて不十分だと主張している。

首相は政策活動費の公開に関して議論を深める姿勢を示す一方、企業・団体献金については透明性の確保が重要だとして全面禁止する理由はないと強調している。

「絶望的にお粗末」 政治資金規正法の自民改正案に野党の批判が殺到 衆院予算委

20日の衆院予算委員会で、野党は岸田文雄首相(自民党総裁)に対し、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた政治資金規正法改正の自民案を「絶望的にお粗末だ」などと批判した。22日に始まる衆院政治改革特別委員会での審議の前哨戦となった。野党は政党から議員に支出される政策活動費や企業・団体献金の扱いを巡り、自民が改革に後ろ向きだとして責める戦術を続けており、自民は苦境にある。

■よくこんな恥ずかしい案を…

「顔を洗って出直してこい、とたんかを切りたくなる」。立憲民主党の野田佳彦元首相は、自民案をこう切り捨てた。

野田氏は衆院政治改革特別委が4月11日に設置されたものの、自民案決定が今月17日だったことを踏まえ「遅すぎる。一番、中身が薄っぺらい。反省がない」と批判した。日本維新の会の青柳仁士氏も「絶望的にお粗末な案が出てきた。よくこんな恥ずかしい案を出せたなと驚きを通り越してあきれている」と述べた。

批判の主な根拠は、自民案では政策活動費は項目ごとの公開にとどまる点と、企業・団体献金には触れていない点にある。

■野党も全面公開は困る

政策活動費について首相は「どのような目的で、いつ、いくら使用したか明らかになる」と説明し、領収書の公開を否定した。

野田氏は「巨大なブラックボックスを小さなブラックボックスに分ける。及び腰だ」と批判。維新の藤田文武幹事長は、領収書の提出、第三者によるチェック、将来的な公開がなければ「改革したとは全くいえない」と迫ったが、首相は「議論を深める」と冷ややかだった。

一方、公明党の中川康洋氏は「一部野党も政策活動費の使い道を全て明らかにしてほしい」と求めた。「野党も全面公開は困る」(閣僚経験者)という認識があり、厳しい要求をしてくる野党を牽制した形だ。与野党の駆け引きとなりそうだ。

■野党「企業利益」批判に首相「透明性確保」

企業・団体献金は、立民、維新、共産党などが禁止を求めている。共産の塩川鉄也氏は「企業・団体献金が賄賂となり、財界・大企業の利益を優先し国民生活を顧みないという政治の腐敗を生み出している」と主張した。

これに対し首相は「多様な出し手による収入を確保することが、政策立案における中立性やバランスの確保において重要だ。全面禁止する理由はなく、透明性の確保によって信頼性を高めていく」と強調した。(沢田大典)