娘を奪われたベトナム人家族 二か国の架け橋に…娘の夢を形にしたホテルをオープン 事件から7年一歩ずつ【福島発】
2024年9月12日、福島県二本松市の岳温泉にベトナム出身のハオさんがオーナーとなる宿泊施設がオープンした。娘の夢を叶えるため、ハオさんは日本に留まる決意をした。
ホテル「RB HOTEL DAKEONSEN」は、かつての旅館を改修してオープンした。客室の内装にはベトナム人向けにベットを配置し、ベトナムと日本の交流を促す場所として位置付けられている。
ハオさんは娘の言葉を胸に、震災と原発事故を乗り越えて、交流の場としてのホテルを実現させることを目指している。
2024年9月12日、福島県二本松市の岳温泉に宿泊施設がオープンした。オーナーはベトナム出身のレェ・アイン・ハオさん。愛娘を事件で亡くし一度は帰国を考えたものの、娘の言葉を思い出し日本に留まることを決意した。宿泊施設のオープンは、娘の夢を叶える一つのかたちでもあった。
二本松市の岳温泉にオープンした「RB HOTEL DAKEONSEN」
オーナーのハオさんが、6年前に営業を終了した旅館を購入し、2023年1月から内装や温泉の配管などの改修を進めてきた。
とくに客室にはこだわりがあり「ベトナムの習慣に畳はない。ベトナム人観光客を中心にするので、ベットにして寝やすい形をとって欲しいと思った」とハオさんは語る。
ホテルには、多くの人に日本、そして福島に来てほしいというハオさんの強い思いが込められている。
2017年に千葉県松戸市で起きた事件。ハオさんの娘・リンちゃんは小学校のPTA会長だった男に誘拐され殺害された。
「とても優しくて、とても良い子です。最後の言葉は学校行く前に、朝のご飯全部食べましたか?と言ったままです。とてもつらいです」とハオさんは語る。
一度はベトナムへの帰国を考えたハオさんだが、「ベトナムと日本がつながって出来ることをやりたい」というリンちゃんの言葉が日本に留まらせた。
ハオさんは震災と原発事故で被災しながらも前に進む福島県に自分を重ね、この場所でその願いを実現しようと決めた。
誰もが長く滞在でき、交流を深める宿泊施設のオープンは大きな目標だった。
ホテルの名前につけた「RB」は「Rebirth(再生・新生・生まれ変わり)」の意味。ハオさんの願いを込めたという。
2024年11月には、ベトナムの旅行会社とのツアーも企画し、娘の願いを一つずつ叶えていこうと考えている。
「ベトナム人が来たら、日本の特徴・文化体験できる。日本人が来たら、ベトナムの味を楽しむ事もできる。それも一つの”架け橋”になると思います。ここが交流できる場所になれば、リンちゃんのやりたいことが実現できたと思います」とハオさんは話した。
これからもこの場所で、リンちゃんと一緒に未来を描いていく。
(福島テレビ)