小泉進次郎、高市早苗、石破茂…混戦する《自民党総裁選》3人の候補者の明暗を分ける「最悪のシナリオ」…さらなる増税、日韓中関係悪化も

AI要約

自民党総裁選挙において、石破茂、小泉進次郎、高市早苗が3強を形成しており、次期内閣総理大臣が誕生する可能性が高い状況。

小泉進次郎候補について、演説内容の一貫性や政策への深い理解に疑問符がつくなど、支持を集める一方で課題も浮かび上がっている。

他候補との比較や選挙の特徴など、自民党総裁選挙の様相について深掘りした分析。

小泉進次郎、高市早苗、石破茂…混戦する《自民党総裁選》3人の候補者の明暗を分ける「最悪のシナリオ」…さらなる増税、日韓中関係悪化も

9人の候補者が乱立する異例の事態となった自民党総裁選挙は、9月27日の投開票日に向けてカウントダウンに入ってきた。

大手メディアが実施している自民党所属の国会議員や登員・党友を対象にした支持動向調査では、その順位に変動こそあるものの、石破茂元幹事長(67)、小泉進次郎元環境相(43)、それに高市早苗経済安保相(63)が「3強」を形成し、この3人の中から、事実上、次の内閣総理大臣が誕生する可能性が極めて高くなっている。

本稿前編「ここにきて、総裁選「高市早苗」の人気急上昇のウラで、議員たちから囁かれる《保守派のプリンセス》最大の懸念点」に引き続き、永田町での取材をもとに、『週刊現代』の調査で上位に入った「3強」を中心に、そして、他の6人についても、決選投票で誰を支持するのかを概説していくことにする。

9月12日、自民党本部で告示後の所見発表演説会を取材し驚いたのが、小泉氏の演説内容だった。

9月6日、筆者は、小泉氏が行った出馬表明の記者会見を講演先の山形で見た。そして、「自分自身を主人公に、2児の父親になったことで世の中に対する見方が変わり、子どもの世代まで改革を先送りできないと語った部分は、まさにストーリーテリング(物語風に語る話法)で、実に見事だ」と感じ、「本命は小泉氏だ」と確信した。

ところが、1週間も経たない演説会で同じ内容を繰り返す姿に、話のバリエーションのなさを感じ、期待が大きかった分、失望感を覚えたものだ。

思い出していただきたい。小泉氏は、出馬表明の会見で、進次郎氏は「改革」という言葉を連呼し、「首相に就任したあかつきには、早期に衆院を解散し国民の信を問う」と宣言したほか、解雇規制について「人員整理が認められにくい。

この状況を変えていく」と見直しに言及し、「選択的夫婦別姓制度の導入」や「ライドシェアの完全解禁」なども「1年で実施する」と断言してみせた。

そのシーンだけを思い起こせば、「刷新感がありカッコいい」と言えなくもない。ただ、小泉氏は、その後、討論会等で、小泉氏を本命と見た他の候補やメディアの司会者から、解雇規制について質問攻めに遭うと、「解雇の自由化なんて全く考えていない」とトーンダウンさせた。

肝心の経済政策についても、岸田政権が推進した防衛増税や子育て支援金には、それぞれ1兆円の国民負担が必要となるにもかかわらず、「岸田政権を踏襲する」と述べ、茂木氏が提唱した「増税ゼロ」政策には否定的な考えを示した。

その小泉氏の選挙対策本部は、自民党本部から歩いて3分程度の瀟洒なシェアオフィスにある。そこには菅義偉前首相に近いスタッフやPR会社のメンバーが詰め、小泉氏が訴える内容から動作、服装まで入念に確認している。筆者は、正直なところ、「それであの様か?」と感じざるを得ない。

「軸が定まらず、増税メガネ(岸田文雄首相)が増税王子になるだけなんて言われてね。今は、討論会で誰かが先に述べた意見に乗っかる同調王子でもあるわけでしょ?菅さんはきっと焦ってらっしゃるわよね。当初はね、『議員票を100票集めろ!』なんて檄を飛ばしてたって耳にしたけど」(河野氏を支持する衆議院議員)

「私が小泉さん以外を支持しているのを知っているのに、小泉陣営からは『1回目の投票で小泉と書いてくれないか?』と言ってくる。現状では危ないと見て、引き剝がしにかかっているのかなあ」(林氏を支持する参議院議員)

他の陣営からはこんな声も聞かれるが、出馬を断念した齋藤健経済産業相とその支持議員が小泉氏の支援に回るというプラスの要素もなくはない。

齋藤氏と小泉氏とは、衆議院第1議員会館の8階と3階にあるそれぞれの事務所を互いに往来し、党改革案を詰めてきた間柄だ。齋藤氏は政策通で、党内外の評価も高いため、齋藤氏が付いたことが追い風になる可能性もある。

小泉氏の場合も、高市氏と同じように、〇と●で分類しておく。

■小泉進次郎氏

〇人は見た目が9割

演説会や討論会の場でカンペを見る数は他の候補より圧倒的に多いが、声のトーンや歯切れの良さ、小柄ながら颯爽とした見た目でカバーできる。

〇選挙の「顔」になれる

選挙に強いとは言えない議員に「誰に応援に来てもらいたい?」と聞けば、「小泉さん」という声が多い。全体的な人気度の高さは、解散が近い衆議院議員には訴求力がある。

●菅元首相の影

「小泉さんには抵抗はないけど、菅さんがまた前に出てくるのは……」という声があるのも事実。「菅氏の名子役」的イメージからの脱却が必要。

●わかってなさそうな点が多すぎ

たとえば、候補者の中の外相もしくは防衛相経験者5人と比べれば、外交・安保への認識が浅すぎ。9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で日中関係を問われた際に答えた「台湾には行ったことがあります。中国は行ったことがありません」は、大学生でも言える台詞。中国の誤解を招く。