決選投票にらみ心理戦 地方票獲得へアピール 自民総裁選、島根で全国遊説締めくくり

AI要約

自民党総裁選に出馬した9候補は20日、松江市で演説会に臨み、地方遊説を締めくくった。

石破茂氏と小泉進次郎氏が石破氏の地元での演説で注目され、支持者の姿が目立った。

決戦投票を視野に入れ、各候補は地方票の獲得を重視して有権者に訴えかけた。

決選投票にらみ心理戦 地方票獲得へアピール 自民総裁選、島根で全国遊説締めくくり

自民党総裁選に出馬した9候補は20日、松江市で演説会に臨み、合同での地方遊説を締めくくった。同地は世論調査で高い人気を誇る石破茂元幹事長の地元に近い。石破氏と接戦を演じる小泉進次郎元環境相や高市早苗経済安全保障担当相からは石破氏を意識する発言が飛び出した。小林鷹之前経済安保担当相ら他候補も勝敗を左右する党員・党友票(地方票)の獲得に向け、精力的に支持を訴えた。

■石破氏の支持者目立つ

「いつの時代も国を変え、歴史を変えるのは地方だ。やっぱり鳥取、島根! こっから新しい日本をつくっていく」。石破氏が演説会で方言を交えながらこう強調すると、場内から大きな拍手が沸き起こった。石破氏は隣県の鳥取が地元。場内では紫色の鉢巻きやシャツをまとった支持者の姿がひときわ目立った。

石破氏との思い出に言及したのは小泉氏だ。「石破氏から頼まれて鳥取の市長選の応援に行った。石破氏の計らいで寝台列車で東京まで帰ったのを今でも忘れない」と振り返った。

高市氏も「先ほどからアウェー感を感じている。石破氏の地元ということもあるのだろうが」と強調。山陰地方で影響力を持つ石破氏を持ち上げた。

■決戦投票視野に思惑錯綜

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が9月中旬に実施した合同世論調査で、9氏のうち誰が新総裁にふさわしいかを尋ねたところ、自民支持層では小泉氏がトップ。石破氏と高市氏が続いた。

過去最多の9氏による乱戦を受け、上位2人で争う決選投票が確実視されている。小泉氏と高市氏は接戦を念頭に山陰の有権者を過度に刺激することを避けたとみられる。

一方、高市氏は経済安全保障推進法を成立させた小林氏の手腕をたたえた。決選投票では下位7陣営の支援を得ることが重要になるため、暗に同じ保守系の小林氏に連携を呼びかけたとの見方もある。

今回の地方票数は国会議員票と同じ368票。演説会では他候補も島根出身の竹下登元首相らを称えたり、参院選を巡る島根と鳥取との「合区」の問題に触れたりと、地方票の獲得へアピールを強めた。(竹之内秀介)