苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成

AI要約

兵庫県議会は斎藤知事に対する不信任決議案を可決し、知事の辞職を求めた。不信任は文書問題の影響で加速し、県政が混乱している状況となっている。

自民党は斎藤知事を前回知事選で推薦したが、文書問題に対応して疑惑解明を進める姿勢を見せていた。しかし、疑惑の解明よりもクビ切りのタイミングを求められる事態となり、不信任が可決された。

大阪維新の会の現職の敗北が影響し、兵庫県でも不信任が決定された。疑惑解明のための調査が先送りされ、議会での真相解明が遠のいた。

苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成

兵庫県議会は19日、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。告発文書に端を発した「県政の混乱」を理由に、辞職をかたくなに拒む斎藤氏に、議会がなしうる最後の一手を繰り出した。もっとも、ここに至るまで各党の思惑は入り乱れ、文書で指摘された斎藤氏の疑惑の解明を脇に置いて、結論だけを先取りした感が否めない。議会のかりそめの大同団結は、停滞打破の一歩となるのか。

「知事が何を考えているか、まったく分からない。おかげで候補者も定まらないまま知事選に突入しなければならない」

県議会最大会派の自民党のあるベテラン県議が嘆息する。前回県議選からまだ1年半しかたっていないが、斎藤氏が議会解散に踏み切る可能性も否定できない。選挙費用の負担を考えれば、不信任は取りたい手段ではなかった。

前回知事選では、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民。3月に浮上した文書問題への対応では、県議会の「伝家の宝刀」といわれる調査特別委員会(百条委員会)の設置に賛成するなど、斎藤氏の疑惑を追及する姿勢を早々に打ち出してはいた。

だが斎藤氏の辞職を求める世論が、調査のスピードを上回って燃え上がり、疑惑解明よりも〝クビ切り〟のタイミングを計らざるを得なくなった。今月6日の百条委。2回目の証人尋問での斎藤氏の答弁を受け、一気に「不信任やむなし」に傾いた。

一方、自民と相乗りで斎藤氏を推した維新は迷走した。6月の百条委設置には反対し、第三者機関の調査を優先すべきだと訴えた。

潮目が変わったのは、8月25日の大阪府箕面市長選。大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内に衝撃が走った。兵庫県政における斎藤氏擁護ともとれる姿勢が、拠点の大阪に影響したと深刻な受け止めが広がった。

維新は百条委の調査を待つことなく不信任にかじを切る。「結果が出てから判断すると申し上げてきたが方針転換する。批判は真正面から受けたい」。維新の藤田文武幹事長はこう釈明したが、議会での真相解明は遠のいた。