立民代表選、薄れる「原発ゼロ」 衆院選見据え現実路線

AI要約

立憲民主党代表選は、エネルギー政策が焦点となっており、候補者は再生可能エネルギーの普及を目指す一方で、原発に依存しない社会を実現するための具体的な方針を提示している。

野田、泉両氏は再稼働を条件付きで容認する姿勢を示しており、現実路線をアピール。一方、枝野氏は原発ゼロの表現を封印し、再稼働にはブラックアウトのリスクが高い場合のみ考慮すると述べている。

吉田氏は再稼働に最も慎重であり、原発が安いエネルギーというのは誤りだと指摘。再生可能エネルギーの拡大に国家的な注力を求めている。

 立憲民主党代表選(23日投開票)は、原発再稼働を含むエネルギー政策も焦点だ。

 野田佳彦元首相(67)、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、吉田晴美衆院議員(52)の4候補はいずれも、再生可能エネルギーの普及促進による「原発に依存しない社会」実現に意欲を示すが、党綱領に明記した「原発ゼロ」の表現を避ける場面が目立つ。次期衆院選を見据えて現実路線をアピールする思惑がありそうだ。

 生成AI(人工知能)の普及に伴うデータセンター増設などで、電力需要は今後も増加が見込まれている。代表選の論戦で野田、泉両氏は「現実的」という言葉を多用。原発の新規増設やリプレース(建て替え)は必要ないとしつつも、避難計画と地元同意を条件に再稼働を容認する姿勢をにじませる。

 一方、2011年3月の東京電力福島第1原発の事故当時、官房長官として対応に当たった枝野氏は、こだわっていた「原発ゼロ」を「あすにでも全部(原発が)なくなるかのような誤解を与える」として封印。ただ、再稼働については「ブラックアウト(大規模停電)のリスクが非常に高い場合に初めて考えることだ」と距離を置く。

 自身の公約に「一日も早く原発ゼロを実現」と盛り込んだ吉田氏は再稼働に最も慎重だ。「原発が安いエネルギーというのは誤りだ」と指摘。国家を挙げて再生可能エネルギーの拡大に注力すべきだと訴える。

 党綱領の改定については、4候補とも「精神はしっかり踏まえる」(野田氏)などと否定的だ。