“雷”で豊作に!?『プラズマ農業』を研究者が解説「プラズマを使えば空気と水と電気だけで肥料に」【ひるおび】
雷が豊作をもたらすという言い伝えが、科学的に証明されつつある。雷が発生すると、窒素酸化物が作物の栄養となる仕組みがある。
プラズマを人工的に作って農業に活かす研究が進んでおり、作物にさまざまな効果がある。シャープが行った研究では、プラズマクラスターイオンの照射によりイネの成長が最大約4倍促進され、遺伝子発現も最大約3倍に増加した。
食糧生産向上に貢献する可能性があるプラズマ技術を活用し、日本の食料自給率向上に貢献する研究が重要である。
「雷が豊作をもたらす」という言い伝えがありますが、科学的に証明されつつあります。
研究に携わる、九州大学 プラズマナノ界面工学センターの古閑一憲教授に教わります。
■「雷」が豊作に結びつくワケ
雷が発生すると・・・
▼雲の中で小さな氷が衝突し、+-の電気がうまれる
▼地面が+の電気を帯びる
▼雲の下層の-の電気を帯びた電子が飛び出す
▼電子が空気中の酸素分子・窒素分子と衝突
▼分子から電子が飛び出し、電子とイオンに分かれ「プラズマ」状態になる
▼窒素や酸素が反応しやすい状態になり統合⇒窒素酸化物になる
▼窒素酸化物が作物の栄養に
九州大学 プラズマナノ界面工学センター 古閑一憲教授:
雷は自然界におけるプラズマの一種なんですが、プラズマの中で空気中の酸素や窒素が反応して窒素酸化物という肥料成分ができます。
これを農作物が吸収して育つという仕組みとなっています。
まさに肥料となって降ってくるということになります。
恵俊彰:
肥料が空中でできるということですか?
九州大学 古閑一憲教授:
その通りです。空気中で拡散して、広がっていくことになります。
恵俊彰:
稲妻自体が落ちた場所じゃなくて、稲妻が落ちることによって空気中に栄養ができるということなんですね。
そうなると近くで落ちた方がいいんですか?
九州大学 古閑一憲教授:
そうですね。雷の場合、やはりそういうことになると思います。ただ上空でも発生しますので、範囲は広くなると思います。
この「プラズマ」を人工的に作って、農業に生かそうという研究が進んでいます。
■“プラズマ”で作物に効果いろいろ
シャープ株式会社が行なっている研究では、
イネの種をまいた直後からプラズマクラスターイオンを直接照射することで、イネが最大約4倍長くなり、エネルギー生成を指示する働き(遺伝子発現)も最大約3倍に増えたということです。
早く育つことで、食糧生産向上の一助となる可能性もあります。
恵俊彰:
この狭い日本で食料自給率を上げるのは最大の課題だろうから、すごいねこの研究は。