PKSHA、製造業のナレッジマネジメントをAIが支援する保全支援ソリューション「PKSHA Maintenance」を提供

AI要約

PKSHA Technologyが設備保全のソリューション「PKSHA Maintenance」を提供開始した。技術継承の重要性や労働生産性の向上を目指す取り組みも紹介。

PKSHAは過去のデータを活用し、未知の不具合にも対応策を推論可能なモデルを開発。ベテラン技術者も労力削減が可能としている。

工場の産業機械やインフラ設備など、様々なユースケースでPKSHA Maintenanceが活用可能で、セミカスタマイズも可能とのこと。

PKSHA、製造業のナレッジマネジメントをAIが支援する保全支援ソリューション「PKSHA Maintenance」を提供

 株式会社PKSHA Technology(以下、PKSHA)は11日、工場などにおける設備保全の現場で蓄積されたノウハウを元に、対応策を提示するソリューション「PKSHA Maintenance(パークシャメンテナンス)」を9月に提供開始したと発表した。

 PKSHAでは、工場の安定稼働に不可欠な設備保全は、適切に行わないと重大な事故や製品品質の低下を招くが、経験豊富な技術者の退職により知識の継承が困難になり、また若手の採用やノウハウの継承にも時間がかかることから、日本の製造業における約80%の企業が技術継承を不安視しているという調査結果を紹介。一方、技術継承が進む企業ほど労働生産性が高く、新人が一通りの仕事をこなせる技能者になるまでにかかる時間が短い傾向にあるという。

 こうした労働生産性の向上を目的に、情報やノウハウの継承とナレッジマネジメントを主眼とした保全支援ソリューションとして、PKSHA Maintenanceを提供する。

 PKSHAは、これまで4330社を超える企業へAI技術の提供を行う中で、クレジットカードの不正検知や不登校の予兆検知モデルの構築など、多くの可視化されないノウハウをデータ化することで事業の生産性向上につなげてきた。それらのモデル構築実績を基盤に、設備メンテナンスにおける過去の知見が詰まった保全履歴をデータ化することで、過去履歴の情報を用いながら対応策を検討させて、推論結果を導出するモデルを開発したとしている。

 このモデルは、過去に発生した不具合(既知の不具合)への対応履歴を出力するだけでなく、過去に誰も対応していない不具合(未知の不具合)に対しても、過去のトラブル対応の知見を参照して対応策を推論できる。これにより、経験の浅い技術者はもとより、ベテラン技術者も、未知の不具合への対応工数を削減できる。

 開発においては、数年分の実データを用いて、モデルで生成された処置案の有識者フィードバックを実施したところ、80%以上の未知事象に対して正解処置案もしくは一部正解の処置案を生成することが確認できたことから、市場への本格展開に至ったとしている。

 対応可能なユースケースとしては、工場における産業機械、物流倉庫におけるマテリアルハンドリング機器、各種インフラにおける設備などを挙げている。

 PKSHAでは、既に製造業をはじめとした、工場の保全現場でソリューションを本番稼働しているが、さらに各ユースケース向けにセミカスタマイズさせることで、短期間で高精度な設備トラブル対応支援エンジンの実装が可能になると説明。今後も業界をリードする企業との連携を推進するとともに、さまざまな業界の生産性向上を目指し、人と共進化する未来のソフトウェアの社会実装を推進していくとしている。