実は目撃事例は数多くあるのに…自衛隊がUFOを「鳥の大群」で片付けてしまうのが「国家の危機」といえるワケ
日本の自衛隊はUAPに関する情報を上層部に正確に伝えることができず、米国との情報共有もできていない。
防衛省はUAPに関する事案を国民に公表せず、報告は定型化されている可能性がある。
現場でのUAP目撃報告は依然として避けられる傾向があり、安全保障上の問題を生じる可能性がある。
前回記事『小泉進次郎議員から「つくっちゃいなよ」と声をかけられ…「もはやUFOは現実の問題」!新しすぎる超党派議員連盟「UFO議連」はこうして生まれた』では、米国がUAPの情報収集や分析を、国防総省内に設置した専門機関AARO(全領域異常解決局)で行っていると述べた。
では、日本ではどうなっているのか。
私が2年半の国会審議を通じて得た答えは、UAPに関する情報を得る自衛隊員はいても、得た情報を正確に上層部へ伝えることはほとんどないということだ。情報がなければ分析もできないので、米国との情報共有もできていない。
2020年9月、当時の河野太郎防衛相は自衛隊がUAPを目撃した場合の対応について次のような指示を出した。
「識別不能の物体を確認した場合には報告に万全を期すこと、可能な限り写真撮影等の記録をすることに努めること、そして分析を行うこと。対領空侵犯措置、警戒監視・情報収集以外の任務でそのような情報を得た場合にもしっかり分析を行う」
これは2020年4月に米国防総省がUAPの可能性がある映像を公開したことを受けて、自衛隊がUAPに遭遇した場合の手順を定めたものだ。
しかし、その後4年が経過した現在でも、防衛省は国民に公表すべき事案はないとしている。これはどういうことか。
自衛隊では以前から、UAPに遭遇しても「戦闘機がスクランブル発進して現場へ行ったがレーダーに映ったものはなかった。鳥の大群だったのだろう」という報告が定型化しているかにみえる。
つまり、現場では依然として、たとえUAPを目撃してもそのことには触れないようにしているのではないかと考えられるのだ。
だが、安全保障の観点からはこのような現状は問題だ。正体不明の物体が他国やどこかの兵器産業が作った最新兵器だった場合、国家に危険が生じる可能性がある。
ジェット機やヘリコプターのような形状でない高速で移動する物体を目撃した時、まずはそこに軍事的な脅威を感じて、国防上の問題と考えなくてはいけない。もし、どこかの国が重力を制御できる画期的な装置を開発して武器に流用していたら、今までのパワーバランスは一気に崩れてしまう。