「米不足」本当の理由がわかった…!食糧安全保障を軽視する「日本の農政」の責任

AI要約

米不足が問題となっており、続く可能性があることが懸念されている。

昨年の猛暑と雨不足が原因とされるが、実際には不作とは言えない収穫量であった。

今後の米不足の可能性を考えると、危機感を持つべきだと考えられる。

「米不足」本当の理由がわかった…!食糧安全保障を軽視する「日本の農政」の責任

現在、米不足が大きな問題になっている。

この問題を考えていくと、今年だけの一過性の話として済ますことができるものだとは思えず、今後もっと厳しい米不足が起こりかねないことを心配すべきではないかと思う。

今回の米不足の原因として一般的にメディアで説明されているのは、1.昨年の猛暑と雨不足による不作、2.おにぎりブームとインバウンドなどによる需要増、3.南海トラフ地震臨時情報の発表による買いだめ行動といったものだ。

まずはこれらの要因一つ一つが、今回の米不足にどの程度関係しているのかを具体的に見ていこう。

まず、昨年は猛暑と雨不足で不作だったという話からいくが、これは本当なのかと疑うべきだ。

というのは、昨年の米の作況指数は、平年を100とした場合に101だったからだ。平年よりも1%ほど多い収穫量ということになるのであり、昨年は「不作」といえるほどの話では断じてなかったのが実際である。

ちなみに平成5年(1993年)に起こったいわゆる「平成の米騒動」の時には、北海道の作況指数が40、青森が28、岩手が30など、東北・北海道が壊滅的な打撃を被っていた。日本全国の作況指数で見ても74であり、まさに大不作であったことがわかる。

これと比べた場合に、作況指数101の去年の収穫が「不作」でなかったのは明らかだ。

去年はお米の品質は全体的にはそれほどよくなくて、精米の過程で削らなければならない部分が多かったということも指摘されているが、それはおそらく決定的なダメージをもたらすものではなかったと見ていいのではないかと思う。

今年の6月末時点の米需要に対する在庫の割合は22.2%で、2008年の18.8%や2011年の22.0%を上回っていたからだ。

精米の過程で削らなければならない部分が、昨年収穫分については米不足を引き起こすほど決定的に多いのであれば、在庫水準も2008年のレベルをさらに下回っているに違いないからだ。

とにかく作況指数101でも米不足が生じているということの重みを、わたしたちはしっかり受け止めるべきではないだろうか。

なお数十年に1回は平成5年のように作況指数が80を切るようなこともあり、終戦の年である昭和20年(1945年)には、作況指数は67まで落ち込んだ。平成15年の作況指数も90まで落ち込んでいる。

直近20年だけでみても、作況指数が98以下になったのは、平成16年、平成18年、平成21年、平成22年、平成30年と5回もある。

今年のこの米不足の騒ぎからすると、今後はちょっとした不作となるだけで、米不足のパニックが繰り返されることになりかねないことがわかる。