南海トラフ地震を促進!?「宮崎で震度6弱」日向灘の地震は南海トラフと同じメカニズムの『逆断層型』 京大・梅田康弘名誉教授が解説

AI要約

宮崎県で最大震度6弱を観測する地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が初めて発表されました。

今回の地震は日向灘で頻発するもので、20〜30年に1回マグニチュード7クラスの地震が起こる。

過去のデータから、マグニチュード7以上の地震が発生した直後にマグニチュード8クラスの地震が起きる確率が通常よりも高い。

南海トラフ地震を促進!?「宮崎で震度6弱」日向灘の地震は南海トラフと同じメカニズムの『逆断層型』 京大・梅田康弘名誉教授が解説

 8月8日、宮崎県で最大震度6弱を観測する地震が発生。その後、気象庁が南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表しました。今回の地震の特徴は?南海トラフ地震との関連は?京都大学・梅田康弘名誉教授の解説です。

 ◎梅田康弘:地震学者 京都大学名誉教授 元京都大学防災研究所・地震予知研究センター長

 ―――今回の震源地の日向灘は地震が頻発する場所なのでしょうか?

 「そうです。20~30年に1回、マグニチュード7クラスの地震が起きている場所ですね」

 ―――気象庁は今回、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を初めて発表しました。南海トラフ地震の想定震源域において、モーメントマグニチュード8.0以上で「巨大地震警戒」、7.0以上で「巨大地震注意」となるということですが、マグニチュードとモーメントマグニチュードの違いを教えてください。

 「ちょっとわかりにくいと思いますが、最初に出たマグニチュードは7.1でした。これは通称“気象庁マグニチュード”と呼ばれ、地震波の振幅から判断します。わりとすぐに決まります。しかし地震が大きくなると、この波が振り切れるなどして正確さに欠けます。そのため、“面積”と“ずれた量”を用いたモーメントマグニチュードを出しますが、面積やずれた量を出すのにもたくさんの波形から計算します。これに時間がかかるため、『調査中』となっていました。そして、モーメントマグニチュードは7.0と評価されました」

 ―――過去の事例によりますと、1週間以内にマグニチュード8クラスの地震が発生する確率は、通常で約0.1%。一方、マグニチュード7以上の地震が発生した直後は約0.5%と5倍になります。この数字はどう見ればいいのでしょうか?

 「過去に世界中で起こった地震を1400例ほど調べると、最初にマグニチュード7クラスの地震が起こって、そのあと1週間以内にマグニチュード8クラスの地震が起こったのは6例ほどです。非常に少ないのですが、もともと南海トラフ地震は発生確率が高いでしょ?高いところに、ちょっとだけ上がったんだけど、やはりそれは注意しなければいけないというのが今回の数字です」

 ―――通常より発生する確率は上がっているという認識をもっていくことが大事?

 「はい、おっしゃるとおりです」

 ―――“1週間以内”という期間については?

 「今、申し上げたように、1つは、1400回のうち6回が1週間以内に起こっているということ。もう1つは、自主避難した人が長いこと耐えられないですね。“受忍限度”というのが1週間ぐらいだろうということで、内閣府は『1週間』と。あまり学術的根拠はないです」