「あすは我が身」と思ってはいたが…記録的大雨で堤防決壊 土砂や流木が自宅襲う 2週間たち片づけ進むも【山形発】

AI要約

7月に発生した記録的な大雨で、山形・酒田市の男性は家を失いつつも、地道に復旧作業を進めている。

2週間経った今もなお、家の周りの状況や不安が続く中、頑強に前に進む姿が印象的。

今後も困難を乗り越えながら、再び家で生活できる日を目指して努力を続けている。

「あすは我が身」と思ってはいたが…記録的大雨で堤防決壊 土砂や流木が自宅襲う 2週間たち片づけ進むも【山形発】

大雨から2週間という期間は、被災した人にどんな変化をもたらしたのだろうか。川の氾濫で家が壊され、当初は諦めかけていた山形・酒田市の男性は「地道にやるしかない」と少しずつ前に進んでいた。

7月の記録的な大雨で荒瀬川が氾濫し、酒田市大沢地区の下青沢では濁流が堤防を越え、住宅まで押し寄せた。

大雨から3日、崩れた堤防の横に住んでいた相蘇弥(わたる)さん(53)は、悲惨な状況を目の当たりにし立ち尽くした。相蘇さんの自宅は建物自体は残っているが、1階には流れてきた大木が溜まったまま。隣の家は流されてしまった。

記録的大雨となった7月25日、相蘇さんは消防団として道路の通行止めをしていた。

相蘇弥さん:

水が増水する前から、増水して流されるまでをずっと見ている状況だった。堤防を越えて全部えぐって取っていった。

自宅を案内してもらうと、車庫はつぶれ、敷地には大量の流木が溜まっていた。木や水がぶつかるように流れ、サッシは流されていった。

あるはずのない草木や土砂、はぎ取られた畳にひっくり返った机…。両親と3人で暮らしていた家の中には入ることができない。

相蘇弥さん:

諦めですね。テレビでいろんな被災地の映像は見ているから、「あー、こういう感じだったんでしょうね」という感じ。「あすは我が身」と思いながら本当にふりかかってくるとは…。まあしょうがない。

大雨から6日がたった7月31日。相蘇さんは近所の人の助けもあり、家の中に入って片づけができるようになっていた。

相蘇弥さん:

ずっとここにいるから、直して住んでいきたいが…、どこまで直せるものだか。まだ全然わからない。地道にやるしかない。

そして8月7日、相蘇さんの家を再び訪れると、はぎ取られた畳や流木・床上に溜まった土砂などは片づけられ、部屋全体が見えるようになっていた。「だいぶ家らしくなってきた」と初めて笑顔を見せた。

家の外では、酒田市が手配した重機によって、溜まっていた流木の撤去作業が始まっていた。土砂などではぎ取られた重い畳もある。やっと手を出せるところが増え「ありがたい」と相蘇さんはいう。

「また住めるかもしれない」と、復旧に向け少しずつやれることが増える中で、まだ全く手をつけられないのが床下に溜まった土砂だ。このままでは家の土台の木材が腐ってしまうおそれがある。

さらに断水が続いているうえ、水路が土砂に埋まっているため、泥を洗い流すこともできない。

今は、知り合いの家に身を寄せながら毎日自宅に通っている相蘇さん。大雨から2週間、いま一番心配していることは、家の周りの状態だ。堤防はもうない。大雨が降ると防ぐものがないため、「安心はできない」と不安を募らせる。

川の流れから地域を守る堤防がない中、再び襲ってくるかもしれない大雨への不安は消えない。大きな不安を抱えながらも、毎日片付けを続けるのは「これからもここで暮らしていきたい」との思いがあるからだ。

相蘇弥さん:

2週間早かった。時間感覚があまりなかった。特に考えないようにしています。あんまり考えると苦しくなるので。前に進んでいった方が…。

最初は「諦め」という言葉を口にしていた相蘇さん。片付けを始めて、さまざまな困難・不安がある中でも「とにかく地道に前に進むしかない」と何度も口にする気丈な姿が印象的だった。

(さくらんぼテレビ)