吃音の悩み、ドラムで消えた 12歳が演奏披露、9月に金沢でフェス

AI要約

富山市の中学1年生、浅野奏士さん(12)は吃音(きつおん)を克服し、音楽に没頭することで自信をつけた。吃音のつらさが軽減し、表現への情熱をステージにぶつけるため、石川県内で開かれるイベントでドラム演奏を披露する。

奏士さんは小学1年の時に吃音に気づき、人前での言葉がうまく出ない経験から積極的になれずにいた。しかし、ドラム教室に通い始めたことで楽しみを見つけ、音楽に没頭する日々の中で吃音の悩みが消えていった。

奏士さんはきつフェスで人気バンドの楽曲を演奏する予定であり、将来はプロとして活躍することを夢見ている。

吃音の悩み、ドラムで消えた 12歳が演奏披露、9月に金沢でフェス

 なめらかな発音が難しい吃音(きつおん)のある富山市の中学1年生、浅野奏士さん(12)が9月、石川県内で開かれる当事者イベントで、ドラム演奏を披露する。音楽に没頭することで、吃音のつらさが軽減したという奏士さん。表現への情熱をステージにぶつけるつもりだ。

 イベントは同県の当事者団体の「石川言友会」が主催。「きつフェス」と銘打ち、当事者が人前で自己表現をすることで自信をつけてもらおうと初めて企画した。奏士さんのほか、7組がアカペラやプレゼンテーションなどを披露する。

 奏士さんが吃音に気づいたのは小学1年の時。国語の音読や日直の号令などで言葉がうまく出てこず、つらい思いをした。人前で症状が出ることが怖く、何事も積極的になれなかった。

 そんな中、小学5年の時にドラム教室に通い始めた。「ミスターチルドレン」や英国のロックバンド「クイーン」が好きで、ドラマーの華麗なテクニックに憧れたことがきっかけだ。初めてドラムをたたいたとき「楽しくてなんとも言えなかった」。腕前はすぐに上達した。

 昨年11月、富山市のライブハウスで教室が主催する発表会に参加。初めて人前で演奏した。堂々とした息子の姿に、母の有希さんは「言葉にしなくても気持ちを伝えられる音楽が、奏士を変えてくれた」と振り返る。

 ドラムに没頭する日々のなか、気がついてみると、吃音の悩みはほとんど消えていた。「一番きつかった時の苦しみが10だとしたら、今はゼロです」。

 きつフェスでは、人気バンド「Mrs.GREEN APPLE」(ミセス・グリーン・アップル)の「青と夏」を披露予定だ。「将来はプロになって自分のバンドをもちたい」と力を込める。

 きつフェスは9月28日、金沢市アートホールで開かれる。当事者だけでなく、一般の参加も可能。参加申し込みは同14日まで。問い合わせは石川言友会(080・8692・7643)。【遠藤大志】