「書きたいことは3つにしぼって!」 齋藤孝が教える“最高の読書感想文”を書く方法がすごい

AI要約

読書感想文に悩む子どもたちへ、教育学者でベストセラー作家でもある齋藤孝さんが『だれでも書ける最高の読書感想文』でアドバイスを提供している。

齋藤さんは、文章を書く際に「グッとくるいい言葉」を見つけ、それを3つに絞り込むことの重要性を説いている。

感想文を書くことは、自己表現や判断力を養う訓練であり、悩むことも自己成長に繋がると齋藤さんは指摘している。

「書きたいことは3つにしぼって!」 齋藤孝が教える“最高の読書感想文”を書く方法がすごい

 読書感想文に悩む子どもたちへ、教育学者でベストセラー作家でもある齋藤孝さんが救いの手として差し伸べた一冊が、『だれでも書ける最高の読書感想文』(角川文庫)だ。

 齋藤さんは本書で、まずはその本を読みながら「グッとくるいい言葉」を探すのがよいと語っている。グッときた理由こそが自身の考えであり、それが自分にしか出せない個性となるからだ(詳しくは前編記事「これが一番簡単な「読書感想文」の書き方だ! 教育学者・齋藤孝が悩める子に授ける“最高のアドバイス”とは」で)。

 しかし、「グッとくるいい言葉」をやたらに書き連ねるだけでは“最高の読書感想文”とはいえず、それらを3つに絞り込むことが肝要なのだという。本そのものは子どもに向けて語りかける体裁になっているが、文章を書くことに悩めるすべての人に役立つ、齋藤さんのアドバイスを見ていこう。

 ※以下、『だれでも書ける最高の読書感想文』の一部を元に再編集しました。

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「グッときたところ」が10も20もあるのを、3つにしぼりこむのに迷うって? 

 そうだね、どれも自分でいいと感じたところなんだから、迷うのも当然。まあ楽しみながら考えることです。

 3つにしぼりこむことは、文章が散漫にならないための大事な方法です。

 とかく、あれもこれもいろいろ入れこみたくなるものなんです。とくに、長めのものを書くときには、分量をふやさなくてはという気持ちも手伝って、いろいろな要素を入れたくなる。その結果、何を伝えたいのかわからないものになってしまいやすい。

 書いているうちに自分も迷路の中にさまよっていって、何を書いているのかわけのわからないものになってしまうこともあります。

 短い感想文でも、長く書くときでも、書きたいこと、伝えたいことは三つにしぼりこむ。そうすればピリッとしたものになる。

 これ、スピーチなど、話をするときの鉄則でもあります。

「3」というのはとてもバランスのいい数字なんだ。カメラの三脚を見てもわかるように、安定感もある。それでいて変化も出る。

 まず大きな柱を3本決めて、そこから枝分かれさせていくと、伝えたいことがブレない。いろいろな応用が利く。

 ポイントは、3つにしぼるところにある。

 読書感想文に悩む人というのは、「書くことが見つからない」だけではないように僕は思っているんです。むしろ、いろいろありすぎて、選べないんじゃないかな? 何を選んだらいいのか、どっちの方向に行ったらいいのか、その「しぼりこみの決断」ができない。

 感想文を書くには、判断してしぼりこんでいくところがたくさんあります。

「グッときたところ」をいくつも拾い出して、そこからベスト3を決めるのもそうだよね。「あれもいい」「でも、こっちもいい」となかなか決められない。迷っていると、次の作業にぜんぜん進めない。

 文章を書いていても、迷うことがいろいろある。つづきを「しかし、そうではなかった」という「逆接」の方向につなげていこうか、それとも「だから、こうなったんだと思う」と「順接」でいくのか、道が分かれる。どっちに行こう、どっちのほうに書いていったらいいんだろう、と悩む。

 感想文を書くことは、「ものごとを決断する」力の訓練でもある。自分で判断して選びとっていく訓練。

「エイヤッ」という気持ちで一つひとつ決断していく。そのときにみんなの心によぎるのは「不安」だ。自分が決断したのではないほうが正しいのかもしれない、まちがったほうを進んでしまうかもしれないという心配をする。