導入間近「マイナ保険証」で「地方都市の医療」が崩壊してしまう…現役医師が実名で怒りの告発

AI要約

政府のマイナ保険証普及政策が医療現場に大混乱をもたらしている。

医療機関のオンライン化義務付けにより、多くの診療所が休廃業・解散に追い込まれる状況。

高齢化と後継者不足の医師問題に加え、無理なオンライン化要求が医療制度の危機を招いている。

導入間近「マイナ保険証」で「地方都市の医療」が崩壊してしまう…現役医師が実名で怒りの告発

「マイナ保険証」を強引に普及させようとする政府の愚策により、医療現場では大混乱している。

政府は、全国の医療機関や薬局窓口に対し、マイナンバーカードを使って本人確認できる「オンライン資格確認」を義務付けた。これにより僻村にある医者が1人で運営する診療所まで含め全ての医療機関がオンライン化しなくてはならない。しかも、これを拒否すると、厳しい制裁を課すという脅しまでかけている。

既に大金をかけてオンライン化するのはとても無理だという医療機関が続出。全国保険医団体連合会(以下・保団連)では、最大1万件の医療機関が、廃止・休業・解散に追い込まれると言う驚愕の試算も出している。

それでも政府は世界に類を見ない巨大な医療ネットワーク「医療DX」をつくるため、総力をあげている。このままでは戦後60年かけて構築した、世界に誇れる日本の医療制度が崩壊する端緒となるかもしれない。

今、猛烈な勢いで、医療機関の休廃業・解散が増えているのをご存知だろうか。

帝国データバンクの調べでは、2023年度の医療機関の休廃業・解散は709件で、前年度のなんと37%増。これまでの最多だった2019年度の561件を148件も上回って過去最高を更新した。

中身を見ると、下表のように診療所の休廃業・解散が顕著で、対前年比20.7倍という前代未聞の数字となっている。

なぜこれほど多くの診療所が休廃業・解散しているのか。主な要因は医師の高齢化と後継者不足だが、そこに拍車をかけているのが、国が主導する無理な医療機関のオンライン化である。

診療所の医師の平均年齢は約60歳。60~69歳が約30%。70歳以上が23%。ところが病院に勤める医師の平均年齢は約45歳。60~69歳が約13%。70歳以上が約5%で、圧倒的に若い(厚生労働省・2022年12月末)。明らかに若い医者は、負担が大きい診療所よりも大病院などに勤める傾向があり、そのぶん診療所で働く医師の年齢は上がっている。

さらに2024年からは、医師の働き方改革が始まり、残業の上限が年間960時間となったことで、人手不足がさらに進行。比較的労働環境がいい大病院でも就職しやすくなったことで、規模が小さい診療所は、益々医師が集まらなくなった。結果として多くの小規模医療機関が後継者不足に悩んでいる。

こうした状況の中で、国から爆弾のように投下されたのが、「オンライン資格確認の義務化」だ。

「オンライン資格確認」とは、「マイナ保険証」を使って保険証の資格を確認するもので、医療機関がこれを使うには、オンライン環境を整えなくてはならない。

国は、「オンライン資格確認」で患者の医療情報を集めて「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」という、医療情報の巨大な高速道路をつくり、誰もがアクセスできるようにするという。

そのため、「医療DX」の基盤となるオンライン化を2023年4月から医療機関や薬局に義務付けた。

しかも、国が言う通りに導入しないと、地方厚生局の集団指導の対象になり、それでもダメなら最終的には保険医療機関の指定取のり消しや保険医登録の取り消しもチラつかせている。オンライン化できない医療機関に、退場させると脅しをかけているのだ。