「人生変えてもらった」 文武両道を歩んだ女王 陸上・北口選手〔五輪〕

AI要約

陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手は感動の涙を流し、日の丸を掲げてグラウンドを一周した。

中学時代はバドミントンと水泳に打ち込み、高校でやり投げを始めた北口選手は文武両道で知られ、大学進学も考えるなど根っからの努力家だった。

母校を訪れる度に親しみのある態度で接し、遠征先でも柔軟な対応力を見せる北口選手は心の底からの信頼を感じさせる存在だった。

 陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手(26)=JAL。

 最後の一投を終えると顔を覆うようなしぐさをし、他の選手らと泣きながら抱き合った。昨年の世界選手権も制した女王は、金メダリストだけが鳴らすことができる鐘を思い切りたたき、日の丸を掲げてグラウンドを一周した。

 北海道教育大付属旭川中学校(北海道旭川市)ではバドミントン部に所属した。顧問の庭瀬奈穂美教諭(52)は「屈託なくよくしゃべり、パティシエのお父さんが作るケーキが大好きだった」と話す。

 ハンバーガーの話題になった際、北口選手が母親の特製バーガーしか食べたことがないと知り、食事面を気遣う家族の愛を感じたという。

 庭瀬教諭によると、北口選手は学業も優秀で、どの教科も満遍なくできた。「授業で与えられた課題をこつこつ進めるタイプ」といい、バドミントンの道大会に出場した時、宿泊したホテルで数学の勉強をしていたこともあった。

 そんな北口選手は、中学時代、バドミントンと共に習い事の水泳にも力を入れた。「高校では水泳一本に絞る」と語っていたが、進学した北海道旭川東高校(同市)でやり投げと出合う。「高校の先生に人生を変えてもらった」。そう話していたことが、庭瀬教諭の印象に残っている。

 文武両道は高校でも変わらなかったという。中学卒業後、友人らと母校を訪れた北口選手から「スポーツ科学を学びたい」と、大学入試に必要な科目などについて相談を受けたこともある。

 大学進学に伴い旭川市を離れたが、成人式や海外遠征から戻った際など、機会を見つけては母校に顔を出している北口選手。遠征先では現地の食事が合わず体調を崩す選手もいるが、「私はなんでも食べられるから大丈夫!」と頼もしく語っていたという。