「自分のやり方が正しい」という“神聖な価値観”の危険。若手部下との価値観のズレを解消するポイント

AI要約

認知心理学や言語習得のメカニズムを研究してきた今井むつみさんへのインタビュー。

時代に合わせて自己をアップデートし、若手メンバーをマネジメントするための具体的な方法を提案。

大人の学び直しの重要性と主体性を強調し、リスキリングのコンセプトに対する考察。

「自分のやり方が正しい」という“神聖な価値観”の危険。若手部下との価値観のズレを解消するポイント

認知心理学や言語習得のメカニズムを研究してきた今井むつみさんへのインタビュー。

時代に合わせてどのように自分をアップデートさせていけばいいのか、若手メンバーをマネジメントするうえで何に気をつけてコミュニケーションを取ればいいのか、具体的な方法について聞いていきます。

【今井むつみ MUTSUMI IMAI】

慶應義塾大学環境情報学部教授

1989年慶応義塾大学大学院博士課程単位取得退学。94年ノースウエスタン大学心理学部Ph.D.取得。せんもんは認知科学、げんご心理学、発達心理学。国際認知科学会(Cognitive Sience Society)、日本認知科学会フェロー。著書多数。新刊は『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策』(日経BP )。

人生100年時代。働く期間が延びたこと、変化のスピードが速いことから、大人の学び直しが注目されています。

今井「大人が学び続けることは非常に重要です。学びは学校を出たら終わりではなく、むしろその後が勝負。どんどん世の中の技術や常識は変わっていくのに、大学までに身につけた知識や技術だけで同じことをし続けていては、ついていけなくなってしまいますよね」

政府がリスキリングなどの人的投資に5年間で1兆円を投入する意向を示し、企業でもリスキリングを推奨する動きが高まっていますが、何より大切なのは「主体性」と今井さん。

何を、どうやって学ぶか。「自分で決められる人と、そうじゃない人の差は大きい」と指摘します。

今井「『リスキリングしましょう』と命令されてすることではないですし、上から言われてなんとなく雰囲気で学び直しても、あまり良い結果にはならない気がします。

そもそも全員がリスキリングを必要としているわけでもない。それなのにリスキリングが合言葉のようになっていることに、少し違和感がありますね」