「挑戦」で培った精神力 チーム率いた「絶対的主将」、石川選手 バレーボール男子〔五輪〕

AI要約

バレーボール男子主将、石川祐希選手は挑戦を通じて培った精神力でチームを率い、絶対的主将と呼ばれる。

52年ぶりのメダルを狙ったが、準々決勝でイタリアに逆転負けを喫し、コート上で涙を拭った。

石川選手はイタリアで挑戦し、言葉の壁を越えるなど数々の困難を乗り越えてきた。

 バレーボール男子主将、石川祐希選手(28)=ペルージャ=は「挑戦」を通じて培った精神力でチームを率い、「絶対的主将」とも呼ばれる。

 この種目で52年ぶりのメダルを狙ったが、準々決勝でイタリアに逆転負けを喫し、コート上で涙を拭った。

 石川選手は大学卒業後、イタリアプロリーグに挑戦した。野球やサッカーと違い、当時のバレー界では前例がないチャレンジ。専属トレーナー野口嵩広さん(36)は「どういうサポートがベストか手探りで、何をするにも正解が分からなかった」と振り返る。

 「自分で開拓した強さ」。イタリアで石川選手と同部屋で過ごす野口さんは、石川選手の強靱(きょうじん)なメンタルをこう説明する。「『イタリアに行く』『言葉の壁を越える』。目標を一つ一つクリアし、積み重ねてきたことが強さにつながっている」と話す。

 野口さんによると、高校時代の石川選手は、言葉によるコミュニケーションが苦手な時期もあった。だが、イタリアでは自分の意思を伝えないと物事が進まない。伝える力が鍛えられ、言葉に深みが出るようになったという。

 プロリーグの選手となり、イタリアで切磋琢磨(せっさたくま)する日々が続いた石川選手。だが、順風満帆とは言えなかった。新型コロナウイルスがまん延し、スーパーに行く以外、自宅から一歩も出られなかった時期もあった。

 思い通りの練習ができない石川選手に、野口さんは日本から遠隔で体のケア方法を提案。「2リットルのペットボトルを使った自重トレーニングなどを取り入れたメニューをテレビ電話で伝えていた」と回顧する。

 共に歩んだ道は約10年。野口さんは「一緒に挑戦する時間も無限ではない。一瞬一瞬を楽しまないといけない」と力を込めた。2人の挑戦はまだ終わらない。