サニブラウン、高い壁痛感 自己ベストも「足りない」―陸上〔五輪〕

AI要約

サニブラウンは男子100メートル準決勝で自己ベストの9秒96を記録するも、五輪決勝進出を逃し、92年ぶりのファイナリストの称号を得られなかった。

苦手だったスタートを改善し、世界の猛者と競り合ったが、終盤で伸びを欠いて惜敗。過去の記録を更新しても満足できず、一流選手との勝負を目指していた。

サニブラウンは自身の限界を感じ、さらなる成長を目指す姿勢を示し、五輪と世界選手権との違いを痛感した。

サニブラウン、高い壁痛感 自己ベストも「足りない」―陸上〔五輪〕

 サニブラウンは「足りない」と繰り返した。

 男子100メートル準決勝で自己ベストの9秒96。それでも、五輪史上最もハイレベルになった決勝進出を巡る争いに敗れた。日本勢として1932年ロサンゼルス五輪6位の吉岡隆徳以来、92年ぶりとなるファイナリストの称号は得られなかった。

 苦手だったスタートを今季改善。「全然負ける気がしなくて、勝負は70メートルぐらいかなと思っていた」。まずまずの飛び出しで世界の猛者と競り合ったが、80メートルを過ぎてストライドがオーバー気味に。「レースプラン通りにいけなかった」と、終盤に伸びを欠いた走りを悔やんだ。

 世界選手権では2年連続決勝進出。無心で駆け抜けた2022年は7位。23年は準決勝で自己記録に並ぶ9秒97を出し、決勝は6位に入ったが、「めちゃくちゃ悔しい」と言った。もはや世界大会の決勝進出だけでは満足できないレベルに到達。一流選手と勝負する姿を思い描き、決勝にピークを合わせるための準決勝後の過ごし方も心得ていたが、その前の壁に阻まれた。

 過去の五輪と世界選手権で、準決勝で9秒台をマークした選手が決勝に進めなかったのは初めて。決勝進出ラインまで0秒03届かなかったサニブラウンは「自分が前進しても、海外の選手たちはもっともっと前進している。(このままでは)一生追い付けない」と痛感した。

 世界選手権では日本陸上界の歴史を塗り替える結果を残してきた。だが、「五輪になると全く違う。ここでメダルを取る選手がいかにすごいのかは、自分が出場して感じた」。25歳の日本のエースは「自分の100%以上、200%ぐらい出さないと、もっと上には行けない」と、自分に厳しく言い聞かせるように話した。