「朝からラーメン」文化、次世代に継承 幼稚園で提供、紙芝居も制作

AI要約

静岡県藤枝市で広く市民に根付いている朝からラーメンを食べる「朝ラー」の食習慣について、未就学児向けの取り組みが続けられている。

市内の認定こども園で朝ラーが提供され、園児たちに喜ばれている様子が描かれている。

市の予算で朝ラーの提供や紙芝居制作が行われ、朝ラー文化の歴史が伝えられる取り組みが進められている。

「朝からラーメン」文化、次世代に継承 幼稚園で提供、紙芝居も制作

 朝からラーメンを食べる「朝ラー」の食習慣が広く市民に根付いている静岡県藤枝市で、市が未就学児を対象に「藤枝朝ラーメン」の味や歴史を伝える取り組みを続けている。幼少期から朝ラー文化に慣れ親しむことで、半世紀もの間受け継がれてきた地域が誇る食文化として、世代を越えて広く浸透させる狙いだ。(林国広)

 同市内の認定こども園「藤枝橘幼稚園」(山崎由美子園長、園児約40人)で7月3日の昼食時間、4歳児クラスの園児たちに朝ラーが振る舞われた。

 あっさりとしたしょうゆベースで、複数の削り節を使った冷たいスープに、細麺が浸してある。給食用の小さな茶わんに盛りつけられ、園が用意したトッピング具材として、鳴門巻きやコーン、ホウレンソウが添えられていた。

 園児たちはおしゃべりを楽しみながら、笑顔で口に運んでいた。山崎園長によると、ラーメンなど麺類が好きな園児が多く、園児の多くは小サイズの朝ラーを完食していた。

 後藤百音ちゃんは「ツルツルしてとてもおいしかった。また家でも食べたい」と言い、おかわりの列に並んだ。

 市は昨年5月から市内の保育施設向けに、朝ラーの提供を始めた。市の予算で朝ラーを提供している市内の店舗からスープと麺を仕入れ、各施設に届ける。調理やトッピングの盛りつけは各施設に任せる。今年も27施設のうち25施設向けに5~10月は冷たいラーメン、11月以降は温かいラーメンをそれぞれ1回ずつ振る舞う計画だ。

 事業を所管する市こども課の担当者は「朝ラー文化を通じて、ふるさと藤枝への愛着を深めてほしい」と話す。

■市の予算で朝ラーの紙芝居制作

 食べるだけでなく、朝ラー文化の歴史も伝えようと、市はチラシや市のホームページで紹介するほか、紙芝居を作った。事業費は昨年度と今年度の予算にそれぞれ100万円を計上した。 完成した紙芝居「ふじえだあさラーメンのたんじょう」(A3判、13枚)の舞台は1970年代。お茶の仲買人が朝早くからラーメン店の開店を待って行列をつくったのに気づいた店主が開店時間を早めたのが藤枝朝ラーメンの起源であることを紹介した。暑い日に汗をかいて食べる客の様子をみて冷たいラーメンを作り始めたことなども盛り込んだ。

 紙芝居の制作では、藤枝朝ラーメンのPRと地域の活性化を目指して設立された市民団体「藤枝朝ラー文化軒究会」の監修を受けた。藤枝朝ラーメンの成り立ちには諸説があるものの、できるだけ史実に沿って紹介した。

 絵を担当した市地域おこし協力隊の中山ほのさん(26)は「これまで地元の朝ラーのことはあまり知らなかったけど、明るい色彩を重視しながらラーメン具材などをできるだけ細かく描いた」と話す。

 幼いころから朝ラーメンに親しむことで、定着する効果が高いとみて、市は朝ラーの提供を受ける市内の保育施設には、食べる前に紙芝居を読み聞かせてもらうよう希望しているという。