「AIゆりこ」が火ぶたを切った超デジタル時代の選挙はこうなる!!

AI要約

都知事選で話題を呼んだ小池氏のAI活用戦略について紹介。

AIアバターやチャットボットを活用し、選挙活動を展開する新たな取り組みに注目。

デジタル技術の進化が選挙活動に与える影響について考察。

「AIゆりこ」が火ぶたを切った超デジタル時代の選挙はこうなる!!

■AIを活用したのは小池氏だけじゃない

いろんな話題があったあまり忘れかけている人もいるかもしれない。都知事選をちょっとザワつかせた、小池百合子陣営が選挙戦に活用した「AIゆりこ」のことを。

小池百合子本人に代わり、生成AIを活用して作られたアバターがSNSを通じて小池氏の主張や政策を有権者に訴える......というこの戦略。都知事選のようなメジャーな選挙の、それも有力候補が、AIの生成したリアルなアバターを使って選挙活動を展開するのは初めてのこと。

ちなみに、この「AIゆりこ」は、これまでの取り組みや政策を一方的に伝えるのみで、有権者からの質問に答えたり対話したりはできない。

しかし、その一方で「デジタル民主主義の実現」を訴えて立候補したAIエンジニアの安野貴博氏はChatGPTのように、インタラクティブな対話も可能な「AIあんの」を開発し選挙戦に投入している。

さらに、リアルな街宣活動と並行して、ネット上のメタバース空間「VRChat」を活用した街宣活動なども行なって話題となった。

急激な進化を続ける生成AIに代表されるテクノロジーは、この先、日本の選挙をどのように変えていくのだろうか?

「昔から『恋と選挙ではすべて許される』なんて言い方もありますが(笑)、基本的に『使えるものはなんでも使う』というのが選挙ですから、今後もAIやネットを活用した最新のデジタル技術が次々と選挙に投入されていくと考えられます」

そう語るのは、選挙制度や「情報と法」の問題に詳しい慶應義塾大学の大屋雄裕教授だ。

「今回、現職知事としての業務もあって多忙な小池氏がAIアバターを活用したというのが象徴的ですが、デジタル技術は、従来の選挙で当たり前の前提として存在した時間や空間、あるいは肉体的な限界を超える手段になります。

選挙期間中にひとりの候補者が演説会や街宣活動を行なったり、有権者との対話の機会を持ったりしようとしても、そもそも時間には限りがあるし、移動にだって時間と労力が必要で、体力の限界だってあります。

しかし、AIアバターやオンラインのチャットボット、さらにはメタバースのような電脳空間といったデジタル技術を活用すれば、従来の選挙活動を縛っていた自然的な限界を超えて、幅広い有権者への訴えかけが可能で、より多くの人たちとの対話も可能になるかもしれない。

その結果、従来よりも有権者が、候補者や政策についてより深く理解した上で、投票先を選べるという可能性があるのです」