2024年の台風 ラニーニャの影響で日本近海の発生が増加傾向か 台風3号の影響は

AI要約

秋にかけて、ラニーニャ現象が発生する可能性が高くなっており、西太平洋熱帯域での対流活動が活発になることが予想されています。

ラニーニャ現象下では、日本列島以西の海域で台風が発生しやすくなり、台風の発生緯度も北上傾向にあるため、台風シーズンには日本付近に接近する台風に注意が必要です。

エルニーニョ現象が終息し、ラニーニャ現象の影響により、特に西経125度~140度の海域での台風発生が増加している傾向が見られます。

2024年の台風 ラニーニャの影響で日本近海の発生が増加傾向か 台風3号の影響は

このあと秋にかけて、ラニーニャ現象が発生する可能性が高くなっています。発生・本格化すれば、西太平洋熱帯域の対流活動が活発になり、2023年(エルニーニョ現象下)と比較して、日本列島により近い西よりの海域で台風が発生しやすくなるでしょう。更に、台風の発生する緯度も年々北上傾向となっており、これからの台風シーズンは、発生後に短期間で列島に近づく台風の動向に注意が必要です。

エルニーニョ現象は終息し、今後秋にかけてはラニーニャ現象が発生する可能性が高くなっています。

「ラニーニャ現象」による影響を平たく言うと、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、積乱雲の活動が活発になります。結果として西太平洋熱帯域で台風が発生しやすくなる一つの条件が整い、2023年(エルニーニョ現象下)と比較して、発生数は東の海域で減り、西の海域で相対的に増える傾向に変わっていくのです。

上図は、デジタル台風のデータをもとに、台風の発生場所の経度を5度毎・年度別に個数を抽出、更に夏の期間にエルニーニョ現象またはラニーニャ現象が発生していた年度毎の二つのグループに分けた結果を、グラフ化したものです。

北半球を北極上空から俯瞰するイメージを持って下さい。ピンク色は2023年を含む過去のエルニーニョ年、青色は過去のラニーニャ年を示しています。母数はラニーニャ年の方がやや少ないですが、青色のラニーニャ年は、東経125度~140度の範囲で、ピンク色のエルニーニョ年と同等かそれ以上に多く台風が発生しています。

一方、東経140度以東の台風発生数は、全般にピンク色のエルニーニョ年の方が多く、青色のラニーニャ年の方が少ない傾向となっています。ラニーニャ年になると、台風の発生経度が西へずれる傾向となり日本近海に近づくと言えそうです。

次は台風の発生する緯度です。台風の発生場所の緯度を5度毎・年度別に個数を抽出、その中から長期変化傾向の大きな「北緯5~10度」「北緯10~15度」「北緯25~30度」の三つの緯度帯の変化をグラフ化しました。

直線で示すのが長期変化傾向で、「ピンク色の北緯5~10度」「赤色の北緯10~15度」など、赤道に近い低緯度では、台風の発生数は減少傾向となっています。

一方、本州付近に最も近い「緑色の北緯25~30度」では、前二者の低緯度と比較して相対的にやや増加傾向になっているようにも見えます。これは、海面水温の上昇が一因で、本州付近に近い海域でも台風が発生しやすく、発生緯度が北上傾向となっているものと考えられます。