強制不妊手術、原告に首相が謝罪 「除斥期間」の主張撤回も表明

AI要約

岸田文雄首相が旧優生保護法に基づく不妊手術被害に対し謝罪し、除斥期間の主張を撤回。和解に向けた取り組みを強化する方針を示した。

首相官邸での面会で、政府の責任を認めるとともに、原告らの要望に応えた新たな補償策を提案。賠償や法整備を行う方針を示した。

関連する議員立法での成立を目指し、早期解決に向けた取り組みを強化。優生思想や差別の根絶に向けた取り組みも進める方針。

強制不妊手術、原告に首相が謝罪 「除斥期間」の主張撤回も表明

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)下で障害がある人たちに不妊手術を強制したのは違憲と断じた最高裁判決を受け、岸田文雄首相は17日、原告らと首相官邸で面会し、「政府を代表して謝罪を申し上げます」と述べた。係争中の訴訟について、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を求めてきた国の主張を取り下げる考えも表明した。

 首相が除斥期間の主張撤回を表明したことで、多くの訴訟は和解に進むとみられる。政府による救済がようやく実現する見通しだ。

 首相官邸にはこの日、原告や家族、弁護団ら約130人が訪れた。首相は冒頭のあいさつで「旧優生保護法に基づく施策によって(旧法廃止までの)約48年間、少なくとも約2万5千人もの方々が不妊手術という重大な被害を受けるに至ったことは痛恨の極みだ」と述べ、「同法を執行してきた立場として、執行のあり方も含め、政府の責任は極めて重大だ。心から申し訳なく思っている」と頭を下げた。

 その上で、新たな方針として、除斥期間の主張の撤回▽優生手術の実施が認められる訴訟の速やかな和解▽訴訟外の人を含めた幅広い補償▽配偶者の苦痛も視野に補償を検討▽十分かつ適正な賠償額を設定▽優生思想や障害者への偏見、差別の根絶に向けた全省庁による新体制の構築――などを表明。これまでの原告らの要望に応えた。超党派の議員連盟と調整し、早ければ秋の臨時国会で関連する議員立法の成立を図る方向だ。