強制不妊手術被害者 岸田首相が直接謝罪「政府の責任は極めて重大」 面会した被害者夫婦「本当に悲しい経験をしたんだと分かっていただけた」

AI要約

岸田首相が障害のある人たちに強制不妊手術を行った旧優生保護法の規定を受けて謝罪し、被害者たちと面会した。

最高裁の判決により国に賠償を命じられた原告たちは、約40年前に不妊手術を強制されたが、賠償請求権は消滅していたと国が主張していた。

岸田首相は除斥期間の適用を撤回し、裁判中の原告に幅広い補償を考える姿勢を示した。

強制不妊手術被害者 岸田首相が直接謝罪「政府の責任は極めて重大」 面会した被害者夫婦「本当に悲しい経験をしたんだと分かっていただけた」

障害のある人たちに強制不妊手術を行った、旧優生保護法の規定は違憲だとする最高裁判所の判決を受けて、17日、岸田首相が被害者たちと面会し、直接謝罪した。

岸田文雄首相:政府の責任は極めて重大なものがあり、心から申し訳なく思っており、政府を代表して謝罪を申し上げます。

岸田首相が謝罪をしたのは、不妊手術を強制された原告たち。原告たちは旧優生保護法の下、障害があることなどを理由に、不妊手術を強制されたとして、国に損害賠償を求めて提訴。

国は、不法行為から20年が経過すると賠償を求める権利が消滅する、「除斥期間」という規定から、原告たちには賠償を求める権利がないと主張していた。

しかし、7月3日、最高裁大法廷は「旧優生保護法は憲法に違反する」として、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。

この判決を受けて、岸田総理は「原告たちに直接、反省とおわびの言葉を伝えたい」と表明。 最高裁判決から半月ほどたった17日、面会の場が設けられた。

大阪府に住む原告の野村さん夫婦は、この日を特別な思いで迎えた。

野村太朗さん(仮名・80代):裁判も大変時間がかかって、つらかったんですけども、やっと裁判も終わって、このように首相と話す機会をいただけてありがたい。

野村花子さん(仮名・70代):今から首相に会えるんですよね?会えるよね?ほんまやね?会いたいと思います。障害者に支援が行き渡るように、誰もが平等に暮らせるようにしてほしいと伝えたいと思います。

 2人は50年ほど前に結婚し、子どもを授かりましたが、病院側から「赤ちゃんに異常がある」と言われ、妊娠9カ月の時、帝王切開で出産。子どもは生まれた翌日に亡くなった。

この時、不妊手術をされていたが、2人はそのことを40年以上知らなかった。

救済に動くどころか、裁判で闘い続けた国。 最高裁が判断を下した時には、提訴から5年がたっていた。

岸田首相は17日、現在も審理中の同様の裁判において、「除斥期間」の適用の主張を取り下げるとしたうえで、原告以外も含めた、幅広い補償を検討する考えを示した。

岸田文雄首相:除斥期間による権利消滅の主張は撤回し、優生手術の実施が認められる訴訟については、和解による解決を速やかに目指してまいります。

旧優生保護法の下、不妊手術をされた人は分かっているだけでおよそ2万5000人いる。

野村さん夫婦は、加藤鮎子こども政策担当大臣などの閣僚が耳を傾ける中、長年抱えて来た思いを語った。

野村花子さん(仮名・70代):手術をされなければ、2人目を授かったかもしれません。障害者を差別せず、誰もが平等に、そのような世の中になってほしいと心から願っております。今でも私の傷は癒えません。

面会を終えた野村さん夫婦は…

野村太朗さん(仮名・80代):本当に首相は優しく、色々話していただきましたので、これから色々私たちのためにも支援してくださると思います。

野村花子さん(仮名・70代):本当に悲しい経験をしたんだなと分かっていただけたので、良かったと思います。

また、超党派の議員連盟は秋の臨時国会で、すべての被害者に補償するための法案成立を目指している。

(関西テレビ「newsランナー」2024年7月17日放送)