「国に勝ったよ」両親の墓に報告 強制不妊訴訟、最高裁判決受け

AI要約

旧優生保護法により障害者に不妊手術が強制された被害者が最高裁で国に勝訴し、賠償責任を認められた。原告の北三郎さんは故郷の墓地で涙を流しながら勝利を喜び、心の中で両親に感謝の気持ちを捧げた。

北三郎さんは14歳の時に強制不妊手術を受けさせられ、それが原因で親との仲が悪化し、恨みを抱え続けてきた。しかし訴訟を通じて、実際の責任は国にあることに気付き、家族のために正義を求める決意を固めた。

日弁連や弁護士会は相談会を開き、原告と首相の面会も行われる。過去の不正義を訴える一石となった判決に注目が集まっている。

 障害者らに不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とし、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、東京訴訟の原告北三郎さん(81)=仮名=が15日、故郷の仙台市の墓地を訪れ、両親の墓に手を合わせた。「国に勝ったよ」。涙を流しながら、心の中で伝えた。

 セミの鳴き声が聞こえる緑豊かな墓地。北さんは、墓前でこうべを垂れた。手で口元を覆っておえつし「つらかった」と漏らした。

 問題行動があるとして仙台市の児童福祉施設に入所させられ、14歳の時、手術を強いられた。折り合いが悪かった親のせいだと考えた。恨んだまま、親は世を去った。

 「誰にも言えず、心にしまった」。妻にも亡くなる直前まで打ち明けられなかった。そのことを親族になじられ、土下座したこともある。訴訟を契機に「悪いのは国だった」と気付き、親や妻のために闘った。今月3日、最高裁で勝訴した。

 日弁連と全国各地の弁護士会は16日午前10時~午後4時に全国一斉相談会を開く。統一ダイヤルは0570(07)0016。17日には、北さんら原告と岸田文雄首相が面会する。