堀井学氏の後任選び、自民党支部は「推さない方のいばらの道」…「勝てる」候補の転身は「非現実的」

AI要約

自民党衆院北海道9区支部で次期衆院選の後任選びが本格化しており、様々な悪材料に直面している。

党の退潮傾向や厳しい状況の中、新支部長の選考が難航している。

地元からは様々な候補の名前が挙がっているが、現時点では出馬は考えていないとのこと。

 自民党衆院北海道9区支部で次期衆院選の出馬を断念した堀井学衆院議員(比例北海道ブロック)の後任選びが本格化している。ただ、7日投開票の東京都議補選で惨敗するなど党の退潮傾向は明らかなほか、衆院解散・総選挙まで最短で3~4か月との観測もあるなど選考を巡る悪材料に事欠かない。関係者は「いばらの道」(岩倉博文・苫小牧市長)に直面している。

 「昨日の東京都知事選でも、自民党は表立って応援できない状況だった。大変厳しい」。8日、苫小牧市で行われた次期9区支部長の選考委員会の初会合。冒頭あいさつで、委員長の藤沢澄雄道議は擁立作業の難しさを憂えた。

 党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、堀井氏は裏金発覚を機に支持者との軋轢(あつれき)が表面化し、出馬断念に追い込まれた。新支部長の選考を通じて巻き返しに転じたいところだが、環境は厳しい。

 都知事選で自民は当選した小池百合子氏を支援したものの、街頭での応援演説を控えるなど「ステルス支援」を強いられた。同時に投開票された都議補選では、議席数を5から2に減らす惨敗。逆風を意識して藤沢氏は「公募に誰も来なければ、アクションを起こす」と早くも次善の策に思いを巡らす。

 また、9月の党総裁選で仮に新総裁が誕生すれば、余勢を駆って今秋の解散、総選挙の可能性も指摘される。道連所属の自民党国会議員は「9区は広い。政治志向でも知名度のない官僚などは二の足を踏むだろう」と落下傘候補を担ぎ出す難しさを指摘する。

 「出れば勝てる」と衆目が一致するのが地元出身の橋本聖子参院議員だが、参院で自民党の議席は単独過半数を割り込んでおり「転身は非現実的」(自民党道連幹部)とされる。地元からは前白老町長で行政経験豊富な戸田安彦道議、大票田・苫小牧選出の板谷良久道議、苫小牧市議選でトップ当選を重ねる金沢俊市議らの名前が挙がるが、取材に対しいずれも「現時点で出馬は考えていない」など慎重だ。

 岩倉市長は5月21日の定例記者会見で、次期衆院選について「堀井氏を推さないのもいばらの道だし、さりとて『推すから頑張れ』と言ってもいばらの道だ」との見通しを示した。9区支部幹部の一人は「今まさに『推さない方のいばらの道』に踏み入れた感じ」と頭を抱えている。