住まい再建阻む建設費高騰…能登地震半年経ても尽きぬ不安 被災者9割「地元に愛着」

AI要約

石川県内5市町の仮設住宅入居者に実施したアンケートでは、半年経過しても住まいの再建が最も大きな生活不安となっていることが明らかになった。

建設費の高騰や工事業者不足などの課題が立ちはだかり、被災者たちが将来の不安を感じている。

健康面についても高齢者を中心に心配が広がっており、地震での影響や医療アクセスの問題に不安が寄せられている。

住まい再建阻む建設費高騰…能登地震半年経ても尽きぬ不安 被災者9割「地元に愛着」

能登半島地震から半年になるのに合わせ、石川県内5市町の仮設住宅入居者に実施した産経新聞のアンケートでは、今後の生活不安について、5割超が「住まいの再建」を挙げた。3月実施の前回アンケートと同様の傾向で、被災者の心境が3カ月で変わることはなかった。今回、9割超が地元への愛着を明かしたが、建設費の高騰もあり、地元での住まい再建や改修に着手できないといった課題も浮かぶ。

■工事業者「見つからぬ」

106人が回答した3月のアンケートでは、生活不安として58人が「住まいの再建」と回答。今回も100人のうち52人が複数回答で「住まいの再建」を選び、仮設住宅での生活が本格化しても同じ不安を抱えている。

住まいの再建に立ちはだかるのが建設費の高騰だ。自宅の新築を望む輪島市の70代女性は「建材や人件費が高くなった」とし、同市の蒔絵(まきえ)師、坂口政昭さん(62)は「予算内で建てられそうにない。5年はかかる」と覚悟する。

全壊世帯などには被災者生活再建支援法に基づき、再建資金などとして最大300万円が支給。高齢者や障害者がいる世帯に最大300万円が上乗せされる仕組みもあるが、被災者の資金不安を解消するには至っていない。建設需要増に伴う工事業者不足も深刻で、自宅改修を考える珠洲(すず)市の無職、柳勝利さん(80)は「業者が見つからない」とぼやく。

■健康も気がかり

今後の不安として、次に多かったのが「余震や大雨など次の災害」で27人。輪島市のホテル従業員、池田正彦さん(67)は「家が潰れるかも」とし、能登町の70代女性は「隣の敷地に土砂が流れ込まないか」と余震の影響を心配する。

「自分の体調・健康」(23人)も2割を超えた。各自治体は仮設住宅に保健師を派遣し、災害関連死の防止などに努めるが、特に体力が衰えがちな高齢者らは健康面も気がかりなようだ。

心臓ペースメーカーを入れる珠洲市の無職、宮腰千鶴さん(75)は「地震でバスの本数が減り、病院に通いづらい」。10年前に腰を手術した能登町の看護師の女性(66)は「週4日の勤務が限界」と悩む。

■新たな職場「見つかるか」