福岡市・天神の屋台だけど鹿児島の雰囲気満喫、ご当地グルメ「あご肉焼き」…夢は「故郷を元気ある街に」

AI要約

博多でかごっま屋台 酔っきーは、福岡市・天神の昭和通り沿いにある屋台で、酔っきーは山之内頼文さんのあご肉焼きや芋焼酎を楽しめる。

山之内さんは鹿児島県姶良市出身で、実家も飲食店を経営しており、地元の文化をPRする活動から福岡市に進出した。

かごっまふるさと屋台村での経験から年末での閉鎖が決まり、福岡市への新規進出を決意し、コロナ禍を経ても着実に経営を続けている。

 福岡市・天神の昭和通り沿いで、オレンジ色ののれんが目を引く屋台「博多でかごっま屋台 酔っきー」。5月下旬、仕事終わりの会社員らが次々と入店し、10席ほどの店内はすぐに満席となった。

 店の名物は、経営者の山之内頼文さん(48)の地元・鹿児島県姶良市のご当地グルメ「あご肉焼き」。豚のこめかみ肉を炒めたもので、弾力のある歯ごたえが特徴だ。芋焼酎とともに鹿児島ゆかりの料理を味わった客らは「鹿児島の雰囲気を満喫できます」と笑った。

 実家は姶良市で飲食店を経営。自身は会社員を経て、福岡市の飲食店で修業した後、2004年に実家の店を継いだ。地元の「あご肉」をPRするなど地域活性化に取り組むが、もっと大きな場所で姶良の文化を伝えたいと思うようになった。

 その頃、鹿児島市の鹿児島中央駅前で実施されていた「かごっまふるさと屋台村」への出店を呼びかけられ、手を挙げた。18年に開業し、「開放的な空間で見知らぬ人同士が目の前で仲良くなっていく。普通の飲食店とは違う」とのめりこんだ。客同士を引き合わせることで、結婚した人もいるという。

 ただ、屋台村は20年末で終了することが決定。「この先、どうするか」。鹿児島県内での誘いもあったが、「屋台の本場で経験を積み上げたい」と福岡市による新規参入の公募に手を挙げ、書類審査や面接を経て、21年10月に今の屋台を始めた。

 開店当初は新型コロナウイルス禍もあって客足は鈍かった。そんな時、博多の屋台に詳しい客が助言してくれた。「もっと積極的に呼び込みをした方がいい」「焼酎が苦手な人のために日本酒も置かないと」。親身な助言を受け、「福岡の人たちは愛情深い」と感じ、福岡の街が好きになった。

 コロナ禍を経て夜の街に人が戻り、経営は以前よりは安定するようになった。その中で、「鹿児島の方が桜島や温泉など観光資源が多いのに、なぜ、福岡の方が観光客であふれているのか」と考えるようになった。