【チーズハムカツカレー】合体させた瞬間に人生が輝きだす、大衆酒場のチーズハムカツとカレーライス:パリッコ『今週のハマりメシ』第140回

AI要約

カツカレーを求めてたどり着いた春田屋で、チーズハムカツカレーを堪能しながら、最新刊の出版を祝福する心地よいひととき。

お気に入りの料理やお酒と共に、幸せな時間を過ごすことの喜びを表現。

春田屋の魅力的な料理や雰囲気を紹介しながら、美味しいおつまみとホッピーで心地よい気分に浸る。

【チーズハムカツカレー】合体させた瞬間に人生が輝きだす、大衆酒場のチーズハムカツとカレーライス:パリッコ『今週のハマりメシ』第140回

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

手前味噌ながら、僕の新刊『缶チューハイとベビーカー』という本が、6月26日に発売された。これは、ひとり娘がベビーカーに乗っていた時代から保育園を卒園するまでの約2年間、WEBで連載していた内容をまとめたもので、子育てをしながらも、その隙を縫ってどう酒を飲むか? という涙ぐましい努力についてを綴った内容になっている。ご興味を持たれた方はぜひとも、ご一読の検討をお願いしたい。というか、お願いします! ほんとに!

とまぁ、個人的にはおめでたいことがあったわけで、ひとりプチごほうびメシを食べたいところだ。そして僕にとってのごほうびメシといえば、それは「カツカレー」に他ならない。さて、どこでカツカレーを食べるか。

ラーメンやそばうどんと違い、ふらりと気軽にカツカレーを食べられる店の選択肢って、実はそんなに多くない。なぜなんだ? ってくらいに、カレーライスのチェーン店って少ないし、そのなかの貴重な店たちである、地元石神井公園の「マイカリー食堂」も「CoCo壱番屋」も、再開発の影響で閉店してしまった。

本の発売日当日、僕はお隣の大泉学園駅前まで買いものに出たついでに、街をふらついていた。どこかにこのカツカレー欲を満たせる店はないか。そんなことを考えながら、「春田屋」の前を通りかかる。

春田屋をごぞんじだろうか? 全国的には、あまり知らない方の方が多いだろうか。練馬区に本店があって、その界隈を中心に数店舗を展開するチェーン酒場だ。ここが、店員さんがめちゃくちゃ感じ良く、しかも料理が安くてうまくて、驚くべきことに大泉店は昼の12時から開いているという、油断大敵な神酒場なのだ。ものすごく使い勝手が良くて、最近気に入っている。

で、そのメニュー表が頭のなかに思い浮かぶ。普段たのまないゾーンなので少し記憶がぼんやりとはしているが、あった気がする。ごはんもののなかに「カレーライス」が。そしてまた、春田屋で僕が愛するメニューのひとつが「チーズハムカツ」だ。それを合体させてしまえば、純粋カツカレーではないけれど、「チーズハムカツカレー」が作れるじゃないかと。それをつまみに、完成したばかりの本に思いを馳せつつ、ホッピーをちびちびやる。こんなにめでたいことはないじゃないか。と、思いついてしまった。うんうん、想像しただけで幸せだ。

思いついてしまった以上、即入店し、即「金宮白ホッピー」(税込539円)を頼む。それから、まずはジャブ的な軽いつまみとして、これも僕のお気に入りの「肉味噌ピーマン」(308円)と、日替わりボードから「厚揚げきつね」(380円)なるメニューを頼んでみる。よく冷えたたっぷりのピーマンに、これまたたっぷりの肉みそとマヨネーズが嬉しい肉味噌ピーマンは、しゃきしゃきとした食感が爽やかで夏にぴったりだ。厚揚げきつねは、見た目から想像するおでん風ではなく、甘めのおつゆでよく煮込まれた厚揚げ。まさにあつあげのきつね風で、これまたいいつまみになる。あぁ、いい時間。