「少子化対策」で人口減少は止まらない! 日本国民が"本来の目的"を誤解する理由

AI要約

2023年の出生数と合計特殊出生率が過去最低であり、日本の人口減少が過去最多を記録。異次元の少子化対策が効果なしとされる中、世界の多くの国も同様の状況にある。

日本の出生率低下の主な要因は結婚に関する行動の変化であり、未婚化と晩婚化が少子化の大きな要因である。

少子化対策は現在の政策に疑問符をつける声もあり、子育て支援だけでなく、結婚に対する考え方の変化も重要である。

「少子化対策」で人口減少は止まらない! 日本国民が

「異次元の少子化対策」もむなしく、日本の人口減少が止まらない! 2023年の出生数と合計特殊出生率は過去最低となり、人口減少は過去最多。しかし、実は世界の多くの国が同じような状況にある。どの国も必死に少子化対策をしているのに、人口減少が止まらないのはなぜか? ヨーロッパで少子化を研究する人口学者に話を聞いたところ、われわれの致命的な誤解が明らかに......!?

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■異次元の少子化対策に効果はあるのか?

衝撃の数字だ。

厚生労働省が6月5日に公表した2023年の人口動態統計では、出生数は72万7277人で過去最低、日本の人口は前年から84万8659人減と過去最大の減少を記録。

人口統計の指標である「合計特殊出生率」(ある年の15~49歳の女性の年齢別出生率を用いて計算した、子供の平均数の指標。以下、出生率)も1.20で、こちらも過去最低を更新。あらためて日本が深刻な"超少子化社会"であることが明らかになった。

こうした現状に対して、岸田政権も手をこまねいているわけではない。昨年1月の施政方針演説で打ち出した「異次元の少子化対策」の実現に向け、総額3兆6000億円を投じる「加速化プラン」の実施を表明。今年6月5日に改正子ども・子育て支援法が成立したことに伴い、児童手当や育児休業給付の拡充、親の就労の有無を問わずに利用できる保育所等の創設といった施策を実行していく。

しかし、これらの支援策が本当に少子化の進行に歯止めをかけることにつながるのかは未知数だ。スペインのポンペウ・ファブラ大学で少子化問題を研究する茂木(もぎ)良平氏が、次のように指摘する。

「岸田政権が打ち出している少子化対策は、ほとんどが子育て世帯への経済支援です。『異次元』とうたっている割に従来の政策の延長という印象が強く、出生率の向上に大きく寄与するとは言い難いですね」

ただし、と茂木氏は続ける。

「これらの施策がダメというわけではなく、むしろ子育て支援はまだまだ足りていないのだから、積極的にやるべきです。ただ、これを『少子化問題の解決策』ととらえるのは間違っています。それは日本の出生率低下の要因を分析すれば見えてきます」

そもそも、なぜ日本の出生率はこんなに低下してしまったのか。茂木氏によると、「近年の日本の少子化は、出産や子育てに関する環境の変化よりも、それ以前の『結婚』に関する行動の変化」に主な原因があるのだという。

「日本は婚外子(法律上結婚していない親から生まれた子供)が極めて少ない国です。だから、結婚と出産が対応関係にあり、結婚に関する行動が変化すると、出生率に大きな影響を及ぼします。日本はそういう社会であると、まず理解すべきでしょう」

では、「結婚に関する行動の変化」とは具体的に何を指しているのだろうか。

「結論から言うと、『未婚化』と『晩婚化』です。これが日本の少子化の非常に大きな要因となっています」

■日本の少子化対策は「結婚」から!