国民民主で「比例復活廃止論」浮上 前原新党への〝移籍〟に懸念「ゾンビの制度なくそう」

AI要約

国民民主党内で、衆院選での比例復活当選を認めない選挙制度改革案が浮上しており、政党の得票によって議席を得た比例復活当選者が他党に移籍することへの懸念がある。

平成29年の衆院選や党分裂の際などを例に挙げ、比例復活当選者の党籍変更が問題視されていることを述べた。

復活当選者の党籍変更問題を正すため、国民民主党は比例復活廃止論を提唱し、党内議論が進められている。

国民民主で「比例復活廃止論」浮上 前原新党への〝移籍〟に懸念「ゾンビの制度なくそう」

国民民主党内で、衆院選での比例復活当選を認めないようにする選挙制度改革案が浮上している。次期衆院選の公約に盛り込むことも検討する。背景にあるのは、政党の得票によって議席を得た比例復活当選者が他党へ移った場合、民意が正しく議席配分に反映されなくなるという懸念だ。昨年末の党分裂の際、復活当選者が新党結成に参加し、結果として議席が「奪われた」ことへの問題意識が底流にある。

■4人が離党届、新党結成

国会法は比例選出議員に対し、選挙で戦った別の政党に移動することを禁じている。ただし、選挙後に結成された新党などに移ることへの制限はない。

国民民主では、前原誠司氏(衆院京都2区)ら衆参4人の議員が離党届を提出し、昨年12月、他の無所属衆院議員1人とともに新党「教育無償化を実現する会」を結成した。

4人のうち、前原氏と嘉田由紀子氏(参院滋賀選挙区)の2人は選挙区選出だが、斎藤アレックス氏(衆院比例近畿)と鈴木敦氏(衆院比例南関東)は比例復活当選だ。国民民主は、4人を除籍(除名)処分とし、斎藤、鈴木両氏に対しては議員辞職を勧告した。

■抜け道は立法府の不作為

国民民主幹部によると、「比例復活廃止論」は今月3日の幹部会合で榛葉賀津也幹事長が提案した。

榛葉氏は同日の記者会見で、復活当選者が「ゾンビ」と揶揄されることに言及し「ゾンビのような比例復活の制度をなくそう」と主張した。また、斎藤、鈴木両氏を念頭に「比例で勝っておいて、違う政党にパッと行く。就職活動のように国会議員をやり続ければいいや、という人たちがこの界隈にもいる」と強いトーンで不快感を口にした。

復活当選者の党籍変更は以前から弊害が指摘されてきた問題でもある。

平成29年の衆院選で小池百合子東京都知事が率いた希望の党の復活当選者が、選挙後に旧立憲民主党の会派へ〝移籍〟するケースが相次いだ。国会法の規定により旧立民への入党はできないため、無所属の状態で旧立民会派に入って活動するという奇策だった。

比例選出議員は、投票用紙に特定の政党名を記した有権者の票によってバッジをつけている。法の趣旨に反した「抜け道」ともいえる手段がまかり通ってきたことは、立法府の不作為の結果にほかならない。国民民主のみならず、与野党全体で制度改正の余地を検討すべき課題だ。(松本学)